プレミアリーグの時間BACK NUMBER
混迷の優勝戦線と6人の監督解任。
波乱のプレミア、前期ベスト11発表!
text by
山中忍Shinobu Yamanaka
photograph byGetty Images
posted2014/01/09 10:30
20節ハル戦で20得点目を挙げたスアレス。出場15試合で20得点はプレミア史上最速記録。
元日の第20節で、今季のプレミアリーグは後半戦に突入した。
前半戦を1位通過したのはアーセナル。トップ4狙いが限界と言われた開幕当初の下馬評を覆し、序盤戦の9月後半から、首位の座をほぼ独占してきた。
それでも、国内の識者には、1ポイント差の2位につけているマンチェスター・シティを優勝の最有力候補に挙げ、開幕前の予想を貫く人物が多い。BBCのベテラン評論家、アラン・ハンセンもその1人だ。中には同局の同僚アラン・シアラーのように、マンCを1ポイント差で追うチェルシーを推す者もいる。
だが「前半戦で最も強烈なインパクトを残した選手は?」と訊かれれば、チームこそ首位と6ポイント差の4位だが、筆者はリバプールのルイス・スアレスを挙げる。そこで今回は、プレミア前半戦のベスト11を選びながら、開幕後の4カ月半を振り返ってみたい。便宜上のシステムは4-4-2。基本システムとしては廃れた感があるが、攻撃志向のマヌエル・ペジェグリーニ新監督による、新マンCのトレードマークとも言うべきシステムだ。
15試合20得点のスアレスは決まり。相棒は?
●FW ネグレド、スアレス
2トップの1角は、もちろんスアレスが占める。15試合出場で20得点という数字は圧巻。昨季終盤に下った10試合出場停止処分が今季第5節まで持ち越されていたにもかかわらず、リーグ得点王争いをリードしている。
しかも、ゴールのバラエティが豊富。35m級のボレー、ドリブルでの中央突破、ペナルティエリア外からのヘディング、カーブの鋭いFKと、スアレスの得点シーンだけで、前半戦のベストゴール集が作成できそうなほどだ。
相棒には、13得点でリーグ得点王2位のセルヒオ・アグエロではなく、敢えて同じマンCからアルバロ・ネグレドを選出する。当初は4-2-3-1を基本にすると思われたペジェグリーニが、個人的な好みである2トップ制の採用に踏み切った背景にも、ネグレドの存在があったはずだ。
このスペイン人新FW自身も、移籍1年目にしてリーグ戦19試合で8得点と上出来だが、何よりアグエロとの呼吸がすこぶる良く、MF陣を呼び込む意識とキープ力にも長けている。結果として、昨季を66得点で終えたチームは、20試合で既に57得点。アウェイでの4敗が示すように、慎重さを欠く一面は否定できないが、この得点数が示す、決定力を伴う攻撃意欲こそが、メディアに「CL決勝トーナメント1回戦でバルセロナの壁を突破できれば、国内外4冠への道が開ける」とまで言わせている。
前線の控えはアグエロと、マンチェスター・ユナイテッドで孤軍奮闘したウェイン・ルーニーだ。今季からのデイビッド・モイーズ体制下で、香川真司がベンチで過ごす時間が増えた点にはイングランドでも疑問の声が上がったが、トップ下として、ゴールとアシストでチーム内トップの数字を残したルーニーへの高評価は満場一致。
第20節を終えて首位と11ポイント差の7位に落ち、タイトル防衛から4位以内へと目標の下方修正を強いられる新監督としては、古巣エバートン時代から信頼を寄せるルーニーを引き留めるためにも、トップ4での来季CL出場権獲得が必須だ。