MLB東奔西走BACK NUMBER
MLB復帰へ狼煙を上げた大家友和。
37歳にして進化するナックルボーラー。
text by
菊地慶剛Yoshitaka Kikuchi
photograph byKyodo News
posted2013/12/06 10:30
ナックルボーラーとしてメジャーへ再挑戦することになれば、日本人としては初。大家友和は、37歳にして新たな扉を開こうとしている。
3人のナックルボーラーとの出会いと、困惑。
大家にとってナックルボールは決して遠い存在ではなかった。
偶然にもレッドソックスのマイナー時代にキャッチボールの相手をするほど仲が良かった投手が、かつて広島にも在籍していたナックルボーラーのジャレッド・フェルナンデス投手だった。
また、メジャーに昇格しても今度はメジャー屈指のナックルボーラーだったティム・ウェークフィールド投手がおり、さらには2008年にホワイトソックス傘下のマイナーに在籍した際もチャーリー・ヘイガー投手というナックルボーラーと遭遇した。
これら3投手のナックルボールを間近で見ていたのだが、実際に投げてみると想像以上に難しいボールだった。
「特にフェルナンデスはキャッチボール相手ですし、凄くお世話になったし、握りもみせてもらったことがありました。でも自分がこうして投げるようになって、彼から聞いていたナックルボールの話を完全には理解できなかったし、その時のイメージ通りに今の自分がナックルボールを投げられている感覚もまったくなかったんです。まさに全然、別物でした。
投げ始めた頃は、彼らが投げていた握り方で、自分が同じように投げられるなんて考えることもできなかったです。どうしてあの握りでボールのスピンが抑えられるのか、本当に理解できませんでした。
カーブとかスライダー、チェンジアップとかいろいろな球種がありますけど、こういう風に抜いたり、こういう風に直したらどんな球が行くのか、またこういう角度でこういう風に身体を動かせばここに必ずボールがいくよというのを掴んで投げてきた人間ですから。それがナックルボールはまったく自分の感覚では掴めないんですよ。訳がわからないけど、とにかくやってみようという状態でした」
独学ゆえの、修正方法の不在。
そんな試行錯誤を続けながらも大家は独学でナックルボール習得を目指していった。それが今回、吉田えり投手に対する冒頭の大家の発言へと繋がっている。
そして、昨年の12月頃になって自分なりに何かを掴みかけたという。
しかし独学ゆえに、修正する術がわからない。