MLB東奔西走BACK NUMBER
MLB復帰へ狼煙を上げた大家友和。
37歳にして進化するナックルボーラー。
text by
菊地慶剛Yoshitaka Kikuchi
photograph byKyodo News
posted2013/12/06 10:30
ナックルボーラーとしてメジャーへ再挑戦することになれば、日本人としては初。大家友和は、37歳にして新たな扉を開こうとしている。
大家はなぜナックルボーラーを目指したのか。
そもそも、大家はなぜナックルボーラーを目指す気になったのだろうか。
「2011年9月(のベイスターズ在籍時)に右肩の手術をし、12月にはブルペンに入れるぐらいまでリハビリを進めていって、思いのほか順調に進んでいたんです。その後、気温が下がってきた頃に一旦横浜を離れて、いろんな人に手伝ってもらいながらリハビリを続けました。でもチェックしてもらっている限り何の問題もなかったし、マウンドの上から投げられていたんですけど、自分の中では入れてるつもりの力が入ってなかったりしていたんです。
肩さえ良くなれば2月ぐらいにテストとか受けて、結果は出せると思っていたし、それ前提で(リハビリを)やっていました。でも2月の時点でスピードと感覚のギャップがものすごくあり過ぎたんです。
そんなにレベルの高い打者(相手に)ではないですけど、バッターと対戦して、スピードが落ち込む中でもピッチングはできたし、抑えられたりしてました。でもそれは自分が望んでいるものではなかったし、もし契約をしてもらうとしたら、相手が僕に望むものでもないというのは理解していました。
肩はストレスを感じないですし楽になったんです。自分の思ったようなボールが投げられていないと感じながらも、気温が上がりトレーニングを続けていけば自分のイメージに近づけるのかなという願望がありました。
でも気温が上がり、春が過ぎ夏を迎えても大きく変化することはなかったんです。日々、なんでかなと思う反面、このままじゃ厳しいかなと感じつつもトレーニングを続けている自分がいました」
今だから話せる、メジャーで負った怪我の影響。
実は今だから話してくれたが、大家は随分前から右肩の違和感と戦ってきた。それはまだ彼がメジャーに在籍していた頃からだった。
原因は様々あるだろうが、彼にとって大きな転機となる出来事が2004年6月に起こった。
ピッチャー強襲のライナーを右腕に受け、複雑骨折の重傷を負ったのだ。腕にボルトを埋め込むなどの修復手術を受け、その年の9月には復帰を果たしたが、その段階で彼は以前のような投手ではなくなっていた。