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攻撃・積極・若手でエバートンが再生。
前任モイーズ越えに挑むマルティネス。 

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山中忍

山中忍Shinobu Yamanaka

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posted2013/12/03 10:30

攻撃・積極・若手でエバートンが再生。前任モイーズ越えに挑むマルティネス。<Number Web> photograph by AFLO

11月23日に行なわれた12節マージーサイド・ダービーで、戦況を見つめるマルティネス監督(手前)とリバプールのロジャーズ監督。

若い力が起用に応え、リバプールを追い詰めた。

 だが、そのルカクが2ゴールを決めているように、若い力が起用に応えた接戦でもあった。

 この日のベストプレーヤーを選べばロス・バークリーになる。19歳のMFはトップ下で先発し、後半にはセンターハーフとしても展開力と個人技を披露した。中盤で息のあったコンビを見せたジェイムズ・マッカーシーは、マルティネスがウィガンで育て、エバートンに呼び寄せた23歳だ。

 バークリーのポジション変更は、左SBのレイトン・ベインズの怪我が理由だった。ギャレス・バリーが、中盤の底から最終ラインに回って代役を務め、バークリーが1列下がることになった。そして、ここにも、マルティネスの積極姿勢が見て取れる。DFを投入する手もあったはずが、ベインズと交代でベンチを出たのはジェラール・デウロフェウだった。

 1点を追う状況だったとはいえ、バルセロナからレンタル移籍中のこのウィンガーは、プレミア1年目の19歳。しかし、マルティネスが、開幕前から「使う」と言っていたこの若者は、全て途中出場ながら、リーグ戦8試合目のピッチに立ってエネルギーを注入。89分まで逆に1点をリードする展開を可能にした。

 土壇場に決められた同点ゴールを含め、リバプールに奪われた3点は全てがセットプレーによるものだった。これは、モイーズ時代のエバートンではあり得なかった失点パターンと言えるかもしれない。マルティネスは、スウォンジー時代から、練習でセットプレー対策に時間を割く事は滅多にないと聞く。但し、守備の修正能力はもちろんある。

開幕12試合で最も敗戦が少ないエバートン。

 極端な例になるが、4年前の11月には、ウィガンの監督として9失点の超大敗を味わった。ジャーメイン・デフォーに後半だけで5ゴールを決められたトッテナム戦だ。するとマルティネスは、次節前の練習で守備の補整に注力。翌週のサンダーランド戦では無失点勝利を実現している。当時のサンダーランドは、リーグ上位で、前週にアーセナルを下したばかりだった。

 加えて今季のエバートンでは、モイーズの遺産とも言うべき「堅守」を無駄にせずに第12節でのダービーを迎えていた。

 マルティネスは、ボールを持って上がれるほど足下の確かなCBがいないことから、ウィガンで基本としていた3バックを強要しようとはしなかった。守備に徹するフィル・ジャギエルカとシルバン・ディスタンを中心とする4バックは、前節までに6試合を無失点で終えていた。チェルシー戦での零封勝利(1-0)も含まれている。開幕12試合で最も敗戦の少ないチームは、1敗のみのエバートンだ。

【次ページ】 サポーターは早くも来年1月のダービーに思いを馳せる。

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