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攻撃・積極・若手でエバートンが再生。
前任モイーズ越えに挑むマルティネス。 

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山中忍

山中忍Shinobu Yamanaka

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posted2013/12/03 10:30

攻撃・積極・若手でエバートンが再生。前任モイーズ越えに挑むマルティネス。<Number Web> photograph by AFLO

11月23日に行なわれた12節マージーサイド・ダービーで、戦況を見つめるマルティネス監督(手前)とリバプールのロジャーズ監督。

前任者モイーズとはまったく対照的なアプローチ。

 しかも、その内容がファンの劣等感をも強めていた。

 モイーズは慎重な監督だ。負けられない大一番では尚更である。その1つであるリバプールとの“マージーサイド・ダービー”では、ベテランを多用する経験値重視の顔ぶれで、守備的な4-5-1の陣形で並ぶ試合が定番だった。

 つまりエバートンは、負けないことを優先しておきながら、敗北に終わることが多かったのだ。

 その点、後任のマルティネスは対照的なアプローチを取る。

 戦術の基本は、いかにして敵を食い止めるかではなく、いかにして敵を攻めるか。しかも、志向するサッカーのスタイルは、後方から攻撃を組み立てる正攻法ときている。イングランドで10年以上を過ごした現役時代、中盤の底で的確にパスを捌いていたマルティネスのプレースタイルに通じるパスサッカーは、6年前に監督としての第1歩を踏み出したスウォンジー時代から一貫している。

 ライバルのリバプールは、昨夏、そのスウォンジーからパスサッカー信奉者のブレンダン・ロジャーズを監督に迎えているが、ロジャーズの前に就任要請を受けていた人物が、実はスウォンジーで下地を築いたマルティネスだったのだ。

名だたる名将から若手を預けられる、育成力。

 マルティネスは、若手の起用に関してもモイーズ以上に積極的だ。コンディションさえ万全ならば、大一番での登用も厭わない。

 ウィガン時代には、マンUのアレックス・ファーガソン監督からトム・クレバリー、アーセナルのアーセン・ベンゲル監督から宮市亮をレンタル移籍で預けられた。今季は、チェルシーのジョゼ・モウリーニョ監督が、ロメル・ルカクのレンタル修業先に、マルティネスのエバートンを選んでいる。

 そして、去る11月23日のリバプールとのダービーマッチは、ホームの観衆がマルティネス効果を確認する恰好の舞台となった。

 試合に勝つことはできなかった。だが、リバプールと互角以上の攻め合いを演じた末の引分けだ(3-3)。

 試合後にマルティネスが「3ポイントを奪えなくて悔しい」と語ったように、2シーズンぶりのリバプール戦勝利は目の前だった。ルカクには、少なくとも、あと2点は追加するチャンスがあった。カウンターで数的に有利だったゴール前でのパスミスなどは、体格はモンスター級のセンターFWでも、ルカクがまだ20歳である証拠だろう。

【次ページ】 若い力が起用に応え、リバプールを追い詰めた。

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