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世界の競馬のルールはここで決まる!
“パリ国際競馬会議”の舞台裏を探る。 

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島田明宏

島田明宏Akihiro Shimada

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photograph byAkihiro Shimada

posted2013/10/18 10:30

世界の競馬のルールはここで決まる!“パリ国際競馬会議”の舞台裏を探る。<Number Web> photograph by Akihiro Shimada

スピーチをするJRAの佐藤浩二総括監。パリ国際競馬会議は1967年に創設され、日本は現在、加盟国代表12名で構成される執行協議会の一員となっている。

「パリ国際競馬会議」「アジア競馬会議」「競走ルールの調和に関する委員会」など、世界の競馬界には「会議」や「委員会」と名のつくものがいくつもある。出席するのは基本的に、日本ならJRA(日本中央競馬会)、フランスならフランスギャロ、香港なら香港ジョッキークラブといった主催者の代表たちだ。

 これらの集まりは、ファンから遠いところで行われている、形式的なものというイメージがあるかもしれない。が、レース結果や馬券に直結するテーマも扱われており、実際に、日本の競馬のルール変更につながった例もあるのだ。

凱旋門賞翌日、51の国や地域の代表が集まった。

 オルフェーヴルが2着、キズナが4着に敗れた凱旋門賞(10月6日、仏ロンシャン芝2400m、GI)の翌日、パリ西部のフランスギャロ本部で、IFHA(国際競馬統括機関連盟)の第47回パリ国際競馬会議(通称「パリ会議」)が行われた。

 51の国や地域の代表が集まり、午前10時半からのオープンセッションには、筆者を含む各国のジャーナリストも参加。午後5時ごろまで、それぞれの代表によるスピーチが行われた。「会議」といっても円卓を囲んで意見を交わすものではなく、最近注目されたもので言うと、オリンピック招致のプレゼンテーションに雰囲気が近い。壇上に立った代表がスライドを示しながら話し、聴衆が耳を傾ける、といったものだ。

 まず、IFHAのルイ・ロマネ会長による開会の挨拶から始まり、つづいて、EMHF(欧州・地中海競馬連盟)代表による、モロッコ、ハンガリーなどの競馬発展途上国に関する報告がなされた。同様に、ARF(アジア競馬連盟)の代表から、トルクメニスタン、モンゴル、イランの現状報告と、韓国で初めての国際競走が行われたことなどが発表された。

 その後、いくつかのスピーチを経て、競馬発展途上国代表としてウルグアイ、競馬先進国代表として日本の詳しい現状報告が、このために制作されたそれぞれの紹介VTRを流しながら行われた。ウルグアイ代表としてスピーチしたのは、同国元大統領のホルヘ・バジェ・イバニェス氏、日本代表はJRAの佐藤浩二総括監だった。

【次ページ】 凱旋門賞の売り上げの18%は日本のファン。

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