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世界の競馬のルールはここで決まる!
“パリ国際競馬会議”の舞台裏を探る。
text by
島田明宏Akihiro Shimada
photograph byAkihiro Shimada
posted2013/10/18 10:30
スピーチをするJRAの佐藤浩二総括監。パリ国際競馬会議は1967年に創設され、日本は現在、加盟国代表12名で構成される執行協議会の一員となっている。
凱旋門賞の売り上げの18%は日本のファン。
佐藤氏は、「Moving Forward Together With Our Funs(ファンとともに前へ)」というテーマで、今年の日本ダービーには14万人のファンが訪れ、約60の場外発売施設で112万人が馬券を買い、さらに163万6000人がインターネットや電話投票を利用し、競馬を報じるスポーツ新聞や専門紙が1100万部発行されている……といった数字を見せながら、世界最高の売上げを誇る日本の競馬について説明した。
ほかにも、世界のサラブレッド生産と馬券売上げのリポートや、「国際馬の移動委員会」代表による、馬の負担を軽減させるための提言など、興味深いセッションがつづいた。
前日の凱旋門賞の売上げは前年を上回り、その18%は日本のファンが投じたお金だったという。凱旋門賞の舞台となるロンシャン競馬場のスタンドは2016年までに改修されるのだが、その費用は1億2000万ユーロ(約160億円)になる見込みだ、といったことも発表された。
パリ会議は、IFHAのいわば総会で、年に一度、凱旋門賞の翌日に行われている。
私たちファンが「IFHA」の文字をよく目にするのは、同連盟が定期的に、世界中の競走馬の強さを数字で示す「ロンジンワールドベストレースホースランキング」を発表し、そのたびに話題になるからだ。最新のものは10月11日に発表され、凱旋門賞を勝った牝馬のトレヴが1位タイで130ポンド、オルフェが7位タイの125ポンド、キズナが35位タイの121ポンドとなっている。なお、ロンジンはスイスの時計メーカーで、IFHAのパートナー(スポンサー)となっている。
JRAの降着ルール変更も、国際基準の影響。
ところで、今年のシーズン開幕と同時に、JRAの降着ルールが変わったことはご存知だろう。去年までは、その走行妨害が、被害馬の競走能力発揮に重大な影響があったと裁決委員によって判断されたら、加害馬は被害馬の後ろに降着となった(=カテゴリー2のルール)。それが今年から、その走行妨害がなければ被害馬が加害馬に先着していたと裁決委員が判断した場合、加害馬が被害馬の後ろに降着するようになった(カテゴリー1のルール)。
カテゴリー1の国(地域)はイギリス、アイルランド、オーストラリア、香港、UAEなど、カテゴリー2の国はフランス、アメリカ、ドイツなどである。
JRAの裁決委員は、2007年12月に香港で第1回が行われた「競走ルールの調和に関する委員会」に参加しつづけ、各国の代表と情報交換をしながら、こうして変更するに至った。