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菊花賞、“1強”エピファの死角は?
最後の一冠、淀の3000mに潜む魔物。 

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島田明宏

島田明宏Akihiro Shimada

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photograph byEiichi Yamane/AFLO

posted2013/10/19 08:01

菊花賞、“1強”エピファの死角は?最後の一冠、淀の3000mに潜む魔物。<Number Web> photograph by Eiichi Yamane/AFLO

2400mの前哨戦では折り合いの不安が解消したかに見えたエピファネイア。3000mの菊花賞で、じっくりと脚をためられるだろうか。

 クラシック三冠を締めくくる菊花賞(10月20日、京都芝3000m、GI)が、まもなくスタートする。皐月賞馬ロゴタイプは前走の札幌記念5着敗退後の疲れが抜けず放牧に出され、ダービー馬キズナは今月6日の凱旋門賞に出たばかりとあって、ともに不在。というわけで、今年の菊花賞は、春の二冠でこれら2頭に次ぐ2着に惜敗したエピファネイアの「1強」ムードである。

 エピファネイアの父シンボリクリスエスは、現役時代、2002年と'03年の天皇賞・秋、有馬記念を連覇した外国産馬。種牡馬として、'09年のフェブラリーステークスを勝ったサクセスブロッケン、'11年の朝日杯フューチュリティステークスを制したアルフレード、'12年の安田記念優勝馬ストロングリターンなどを出している。

 母シーザリオは'05年に日米のオークスを制した名牝。管理調教師はそのシーザリオのほか、ウオッカ、ヴィクトワールピサなども手がけた「世界のスミイ」こと角居勝彦で、主戦騎手は母にも乗っていた福永祐一である。

世代トップクラスの能力と、燃えやすい気性。

 エピファネイアは、'12年10月の新馬戦と11月の京都2歳ステークスを勝ち、12月のラジオNIKKEI杯2歳ステークスでもキズナ(3着)らを退け優勝。もともと期待されていたこの馬の、'13年クラシックの有力候補としての評価がさらに高まった。

 しかし、年明け初戦の弥生賞では伸び切れず4着。つづく皐月賞とダービーではともに半馬身差の2着と涙を呑んだ。

 能力は文句なしに世代トップクラスなのだが、燃えやすい気性が災いし、レースに行くと引っ掛かって前に行きたがり、ムダな力を使ってしまう。ダービーでは道中ずっと手綱を引かれ、向正面で前の馬に乗りかかりそうになって大きくつまずくシーンもあった。あれだけのロスがありながら、最後までキズナに食らいついたレースぶりは、この馬の能力の高さをあらためて示すことにもなった。

 菊花賞トライアルの神戸新聞杯では前に壁をつくらなくても折り合い、余裕を残したまま2着を2馬身半突き放した。

「折り合い面」という課題を前哨戦でクリアし、そして、周りに馬を置いて折り合いをつけやすい、2枠3番という好枠を引いた。

【次ページ】 1993年、ビワハヤヒデの時に似たムード。

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