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“下剋上”でCSファイナルへ臨む広島。
「陰のMVP」菊池涼介の2つの顔とは。
text by
田口元義Genki Taguchi
photograph byNIKKAN SPORTS
posted2013/10/15 12:00
武蔵工大二高時代は三塁手としてプレーし、中京学院大時代は遊撃手だった。プロ入りしてからは、二塁手として荒木雅博(中日)の補殺記録を更新する日本記録を樹立した。
下剋上へ、巨人とのファイナルステージでも起点に!
リスクを最小限に抑える配球の妙。それが欠けていた阪神バッテリーの攻めを菊池は見逃さなかった。
初回にバントを決めた際のメッセンジャーの球速は136キロ。7回の安藤優也は130キロ。両者とも140キロを超えるボールを投げられるのに、「バントをしてください」と言わんばかりのストレートを投じてくる。
菊池が、そのおあつらえ向きのボールに手を出さないはずがない。2番に定着しリーグトップの50犠打を記録した実績は、このような細かな部分でも実践されていたのだ。
ファーストステージで2番打者として幅の広さを見せつけた菊池に対し野村謙二郎監督は、守備の貢献度も含め「陰のMVPだと思っている」と最大限に評価する。
16日から始まる絶対王者巨人とのファイナルステージ。固定観念を覆す臨機応変な攻撃スタイルを持つ菊池が再び打線の起点となれば、広島の下剋上も不可能ではないだろう。
そしてもし広島が日本シリーズ出場を決めるようなことになれば、彼もまた、陰ではなく表、すなわちCSのMVPを手にできるかもしれない。