得意のバントではなく、積極的な打撃を見せた初戦。

　初戦は積極性にあふれていた。

　1回、1番の丸佳浩が三振に倒れた直後の第1打席、藤浪晋太郎の初球を叩きセンター前に運んだかと思えば、走者を置いた場面では粘りも見せた。

　1対1で迎えた5回、1死一塁の場面でカウント2－2からの5球目をセンターに弾き返し、その後のキラの勝ち越し3ランをアシスト。7回の1死一塁で迎えた第4打席でも、5球粘った末に安打を放った。

　この試合、1番の丸が8回まで無安打だったことも加味されてのことだが、菊池は2番ながら一度もバントをしなかった。

　巨人時代に上位打線を任されることが多かった仁志敏久氏は、2番打者の本来の役割について持論を展開してくれたことがあった。

「出塁したランナーをホームに還すために2番が犠牲になって、何が何でも送りバントをしないといけない、といった固定観念で打席に立ってはダメです。2番だからこそ、相手ピッチャーに合わせるバッティングをしてはいけない。常に自分のスイングができるバッターが理想的なんじゃないかと思います」

　CS初戦での菊池の打席に固定観念は存在しなかった。状況を見定めた上での積極性。結果的にその姿勢がチームに勝利をもたらしたと言ってもいい。

第2戦では2つの送りバントをきっちり決める小技も。

　第2戦では、小技も織り交ぜたスタイルで攻撃の起点となった。

　6回に逆転の口火を切る二塁打、8回にはダメ押しとなる6点目の犠牲フライと、前の試合同様、打撃で勝利に貢献した。その一方で2つの送りバントを決めるなど、繋ぎとしてもしっかりと役割を果たした。

　初回と7回に丸が出塁すると、菊池はファーストストライクでしっかりと送りバントを決めた。特筆すべきは、いずれも球種がストレートだったことだ。

　元ヤクルトの名捕手・古田敦也は、バントのサインが出ていると判断すれば投手にスライダーを要求したという。ストレートより転がすことが難しく、バスターに切り替えても引っ掛けてゲッツーになる確率も高くなる。

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