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Rソックス、リーグ優勝決定戦へ!
鍵は「ボス・上原」と「出塁率」。
text by
生島淳Jun Ikushima
photograph byAP/AFLO
posted2013/10/11 10:30
野手陣、投手陣から慕われる上原は、もはやチームの中心。ワールドシリーズが見えてきた。
上原浩治がレイズの主砲、エバン・ロンゴリアを三振に切ってとり、ボストン・レッドソックスが第一関門を突破した。
「クセ者」であるマドン監督率いるレイズを退けたのは非常に大きい。ディビジョン・シリーズは5回戦制だから、流れがどちらかのチームに傾くと、総合力で劣るチームであっても勝ち抜ける場合がある。
事実、タンパベイで行なわれた第3戦、第4戦はレイズが流れを引き寄せていた。特に第3戦、伏兵・ロバトンが上原からサヨナラ本塁打を放ったときは「これは第4戦をレイズが勝ったりすると、どうなるか分からんな」と正直、思ったほどだ。
嫌な流れを断ち切れたのは、やはりレッドソックスの総合力が上だったから、ということになる。
レッドソックスの強さを支える高い出塁率。
レイズとのシリーズで際立ったのは、出塁率の高さである。
ポジション | 打率 | 出塁率 | 長打率 | |
エルズベリー | CF | .500 | .526 | .611 |
ビクトリーノ | RF | .429 | .556 | .429 |
ペドロイア | 2B | .235 | .211 | .294 |
オルティーズ | DH | .385 | .556 | .923 |
ナポリ | 1B | .154 | .353 | .231 |
ナバ | LF | .200 | .429 | .200 |
サルタラマッキア | C | .300 | .364 | .400 |
ドリュー | SS | .133 | .133 | .267 |
ミドルブルックス | 3B | .231 | .375 | .308 |
第4戦のオーダーに即して見ていくと、特に1番エルズベリー、2番ビクトリーノ、4番オルティーズは5割を超えている。上位打線でこれだけランナーをためられれば、得点機会は大きく膨らむ。
さらに下位打線でも、6番を打ったナバも出塁率は4割を超える。彼は相手が右投手の時に先発する「プラトーン要員」だが、レギュラーシーズンから見ていると、まだ若いのに打席での冷静なアプローチが光る。
これはマイナーからしっかりと育てていないと身につかない類のものだ。レッドソックスのマイナーでの育成システムがしっかりしていることが分かる。
まだ4試合でサンプル数が少なく、数字の意味合いは薄いが、ポストシーズンというアドレナリンが必要以上に出る時期、打席で冷静な対応を見せるレッドソックスの選手たちは手ごわい。
なぜなら、四球を選ぶという行為は、本人の「性質」と、球団の「教育」の組み合わせが大きく影響する。
リーグ・チャンピオンシップ・シリーズ以降も、レッドソックスは抜群の出塁率で得点機会を作り出すはずだ。