スポーツ・インテリジェンス原論BACK NUMBER
Rソックス、リーグ優勝決定戦へ!
鍵は「ボス・上原」と「出塁率」。
text by
生島淳Jun Ikushima
photograph byAP/AFLO
posted2013/10/11 10:30
野手陣、投手陣から慕われる上原は、もはやチームの中心。ワールドシリーズが見えてきた。
クローザーを務める上原は、ブルペンのボス。
そしてブルペンがいい投球を見せている。ディビジョン・シリーズの4試合で、ブルペンの自責点はモラレスと上原が1点ずつ。
上原はサヨナラ本塁打を献上した印象が強いが、3試合に登板してヒットはあの本塁打のみ。依然、安定した投球を見せており、心配はいらないだろう。
ブルペンで素晴らしいのは、四球をほとんど与えていないことだ。三振を12個奪っているのに対して、四球はわずか2個。相手にチャンスを与えない。
リーグ・チャンピオンシップ・シリーズでは警戒すべき打者が増えるだろうが、ストライク先行の投球が逃げ切りを容易にする。
思うに、上原のストライクをどんどん投げ込むスタイルがブルペンに好影響をもたらしていると思う。
クローザーはブルペンのボス。クローザーの「傾向」はいい意味でも悪い意味でも、他の投手に影響を与える。
上原の小気味のいいピッチングは、数字以上の効果をもたらしていると思う。
1試合投手9人という奇策に出たレイズにもしびれた。
それにしてもレッドソックスとレイズの第4戦は「スポーツ・インテリジェンス原論」のテーマにふさわしい戦略が見られた。
レイズのマドン監督は1試合で9人の投手を使うという奇策に出たのである!
まず、先発のヘリクソンが2回に降板した時は、アメリカの記者がツイートで「ケガ?」とつぶやいたほどだったが、続く2回を任されたライトも1イニングを投げ切ると3回に降板。ここにいたって、小まめに投手を代えていく作戦だということが明らかになったのである。
結果は1点リードで迎えた7回に四球やワイルドピッチが絡んで2点を与えて逆転を許し、9回にはクローザーのロドニーの乱調で1点を献上、1対3で敗れた。
しかし9回を3点でマネージメントしたということは、一定の成果が見られたということ。むしろ、敗戦の責任は打線が負うべきである。
それにしても、最終戦にもつれた場合、マドン監督はどんな采配を振るうつもりだったのだろう? 先発はエースのデビッド・プライスがいるから任せるとして、継投は……?
この監督は極端な守備シフトを好み、複数のポジションをこなせる選手を起用する。打線の組み換えも頻繁。来季以降も采配に注目したい。
それでも奇策を用いたレイズを堂々と寄り切ったレッドソックスは、やっぱり強いと実感している。
さあ、次はリーグ・チャンピオンシップ・シリーズだ。