MLB東奔西走BACK NUMBER
賭けに勝った松坂、来季もメジャーへ。
野茂、グッデンという「16番」の系譜。
text by
菊地慶剛Yoshitaka Kikuchi
photograph byGetty Images
posted2013/10/13 08:01
かつて野茂英雄やドワイト・グッデンの背負ったメッツの背番号16。果たして来シーズン、この16番が輝くシーンは見られるだろうか。
右ヒジ手術から、メジャー“復活”を目指した松坂大輔投手の2013年シーズンが幕を閉じた。
メジャー登板はわずか7試合で3勝3敗、防御率4.42。決して復活を印象づけるような成績ではない。しかし、最終3試合の登板で3連勝を飾った投球は、来年以降もメジャーで戦うための道筋を示したと言っていいだろう。
今シーズンの松坂にとって大きな転機となったのが、インディアンスへ自ら申し入れたマイナー契約解除の打診だった。
しかも8月20日のこと。その時点でマイナーのシーズン終了まで、あと2週間あまり。マイナー契約での他チーム移籍は考えにくく、移籍するとしたらメジャー契約しかないという時期だった。
インディアンスのマイナーでくすぶっていた松坂の賭け。
シーズン終盤での契約解除は常にリスクが伴う決断といっていい(昨シーズン途中でレイズから去った松井秀喜選手が結局、移籍先を見つけられなかったことからもわかる)。
だがあのままインディアンスに残っていたとしても、松坂のメジャー昇格の可能性はほぼゼロに近かっただろう。
契約解除前、マイナーでの成績は19試合に登板し、5勝8敗、防御率3.92。
今シーズンのインディアンスは先発投手を9人使用するなど、投手陣の入れ替えが激しかった。そんな中でも、昇格のチャンスがなかったのは、彼の成績が首脳陣を納得させるのに十分なものではなかったからにほかならない。
メジャー昇格の最低条件である40人枠に入らなかったということもあり、松坂が今シーズン中にメジャーのマウンドに戻るには、インディアンスを離れるしか道がなかったのだ。
しかも、メジャー全チームのロースター枠が拡大する、9月1日が迫っていた。
シーズンが終わるマイナーからの選手の補充が整ってしまえば、松坂を必要とするチームがさらに少なくなってしまう。まさにあのタイミングしかなかったと言っていい。
結果として、松坂の下した決断は正しかった。