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必然の“ガス欠”で広州恒大に大敗。
柏がアウェーで奇跡を起こすには?
text by
細江克弥Katsuya Hosoe
photograph byGetty Images
posted2013/09/26 12:40
後半に4失点し大敗の柏。ここまで40日間で11試合という過密スケジュールの影響が出てしまったのだろうか。
広州恒大を率い名将リッピが振り返った「分岐点」。
DF近藤直也もこれに同調する。
「多少やられる場面がありましたけど、前半はかなり多くのチャンスを作れたし、運動量もあったので、理想的な戦いができましたよね」
世界的な名将にして昨年5月からこのチームを率いるマルチェロ・リッピは「ムリキのシュートがポストに当たったところ(22分)から、チームが流れを掴み、本来の実力を出せるようになってきた」と振り返った。しかし、このシーンを境に流れが変わったという印象はない。多少押し込まれることを想定していた柏にとって、先制してから相手が前がかりになることは、むしろ理想的な展開だった。
田中が指摘するとおり、相手サイドバックの背後には柏にとって有効なスペースが広がり、そこを徹底的に突く形で決定機は生まれていた。「何点取れるかという流れ」とは決して大袈裟ではなく、いくつかの決定機をものにしていれば、柏はガス欠を回避するエネルギーを手にしていたに違いない。
ガス欠で徐々にアフター気味のファウルが増え……。
しかし、先制後も続いた理想的な展開の中で追加点を奪えなかったことで、後半は柏の足がパタリと止まってしまった。
58分に同点弾を喫すると、フィールドプレーヤーのガス欠がピッチのあちこちで見られた。
コンパクトさは失われ、相手を“潰せる”距離感を徐々に維持できなくなる。ズルズルと引いてセカンドボールを拾われると、アフター気味の“潰さざるをえない”ファウルでリズムを失う。その流れに乗じて、前半は鳴りを潜めていた広州の攻撃陣が勢いを増した。
指揮官ネルシーニョは59分に茨田陽生に代えて谷口博之を投入。中盤の圧力を取り戻そうとしたが、67分にはシュートのこぼれ球に寄せきれず、コンカの強烈なミドルシュートで逆転を許した。79分には前線でのボールの引き出しと「タメ」を期待して、クレオに代えて澤昌克を投入するが流れは変わらず。直後の82分にはCKから再びコンカにゴールを奪われた。