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必然の“ガス欠”で広州恒大に大敗。
柏がアウェーで奇跡を起こすには?
text by
細江克弥Katsuya Hosoe
photograph byGetty Images
posted2013/09/26 12:40
後半に4失点し大敗の柏。ここまで40日間で11試合という過密スケジュールの影響が出てしまったのだろうか。
選手たちは誰一人としてそれを言い訳にしないが、ホームでの大敗の要因が“ガス欠”にあったことは間違いない。
アジア王者を決するAFCチャンピオンズリーグ。柏レイソルは日本勢として4年ぶりに4強に駒を進め、9月25日、ホームでの第1戦に臨んだ。しかしここまで無敗で勝ち上がってきたチームは、後半突如として運動量を落とし、集中力を欠き、イージーなミスを繰り返して失点を重ねた。結果は1-4。中国王者の広州恒大がホームで圧倒的な強さを誇ることを考えると、ファイナル進出に向けて絶望的な差を付けられてしまった。
前半と後半では、ファウルの質が明らかに違った。
10分、柏は右寄り中央からジョルジ・ワグネルが放ったFKを、クレオが頭でかすめて幸先良く先制点を奪った。ホームとはいえ優勝候補を相手に守勢が予想された一戦であり、このゴールは予想外の時間に生まれたと言える。
ある程度は相手に押し込まれることを覚悟した上で、得意のカウンターで仕留める――。ネルシーニョ体制下で作り上げてきたスタイルを発動せずして生まれた、ある意味ではラッキーなゴールだった。
ファウルの質は、運動量と集中力のバロメーター。
だからこそ、このゴールはピッチ上で活力となり、選手たちの運動量は一気に上がった。全体をコンパクトに保って相手との理想的な距離感を保てば、必然的に柏のファウルの質もよりテクニカルになる。
つまり、“潰さざるをえない”ではなく“潰す”。前半は、ムリキ、エウケソン、ダリオ・コンカを擁して「アジア最強」と称される相手の攻撃陣のコンビネーションを、“潰す”ファウルでうまくシャットアウトした。ファウルを推奨するわけではないが、その質は全体のコンパクトさと運動量、集中力のバロメーターとなる。
トップ下に位置した田中順也が振り返る。
「かなり手応えがありました。相手のサイドバックの裏はガラガラだったし、とにかくそこに入り込んでクロスを上げて、何点取れるかという流れでしたから。守備にも戻れたし、うまく対応できたと思います」