それでも彼らは、巨大戦力に戦いを挑む。

　試合後、指揮官のネルシーニョは選手たちの“現実”を代弁するように日程の過酷さを嘆いた。敗因は明らかなガス欠。それに至った背景の一つに、過密日程によるコンディション不良があることは間違いない。ただ一つ言えることは、それでも勝てるような強さがなければ今のアジアを制するのは難しい。広州恒大と柏レイソルでは、クラブの規模が違う。ACL制覇の道のりは、ここ数年で厳しさを増している。

　それでも、指揮官も選手もまだ諦めていない。澤が言う。

「どんな逆境でも頭を下げちゃいけない。1週間で修正したいですね。僕らの後ろには素晴らしいサポーターがいるので」

　4－0で勝てばいい。もはや肉体的な充実を望むのが難しいこの状況では、気力を充実させて戦うしかない。田中が言うように、突破口は前半の45分間に確かにあった。第1戦を糧にするなら、2点目さえ取れればガス欠を回避できる可能性は高い。

　自信を溜め込んで――。柏の選手たちは、クラブW杯に出場することがチーム力の飛躍的な向上につながることを知っている。大敗直後のミックスゾーンで、しかし決して悲観的ではない開き直りの表情が多く見られたことをこのチームに残された希望として理解したい。