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福西崇史が降格危機の磐田に喝!
残り8試合、前田遼一に全てを託す。
text by
細江克弥Katsuya Hosoe
photograph byAFLO
posted2013/09/25 11:30
2000年にジュビロに入団し、中山雅史と入れ替わるようにしてFWに定着していった前田。得点以外でも、ベテラン選手として期待されるものがあるはずだ。
Jリーグ第26節、ジュビロ磐田はかつての宿敵・鹿島アントラーズに2-3で敗れた。しかし熱戦を想起させるスコアとは裏腹に、内容は鹿島の完勝だった。鹿島にとって試合終盤に喫した2失点は、優勝争いに食らいつくための最後の戒めとすればネガティブに解釈する必要はない。
問題は、現在17位と残留争いの渦中で苦しむ、負けた磐田側である。
前節、10試合ぶりの白星に歓喜した柏レイソルとの一戦は、結果はもちろん、内容にも久々に爽快感のある90分だった。序盤から激しくボールを追う猛ラッシュで狙いどおり相手を惑わせ、5分、7分と立て続けにゴールを奪って精神的な重圧から解放された。56分に失点を喫しても焦ることなく、相手のミスを誘って63分に追加点。相手の戦意を削ぐ“失点直後の得点”で勝ち点3を手繰り寄せる、まさに理想的な試合運びだった。
試合後、関塚隆監督は言った。
「今シーズン初めて、アウェーで勝ち点3を取れたことは次につながると思います。内容的にはもっと積極的に行けるところは行けると思いますが、まずはリードした中でどういうふうにゲームを進めていくかという課題を、選手たちが一つクリアしてくれたんじゃないかと。これを次節以降につなげたい」
なぜ磐田は“勝ち方”を忘れてしまったのか?
今シーズンの低迷における最も明確な要因は、柏戦まで続いたアウェーでの未勝利と、逆転負けの多さである。2点のリードから4失点を喫した第23節アルビレックス新潟戦などはまさにその典型だった。
しかし迎えた鹿島戦、磐田は8日前の柏戦で得た手応えをピッチで表現することができなかった。
思い出したはずの“勝ち方”を再び忘れてしまったことは、立ち上がりの5分間を柏戦と比較すれば明らかである。鹿島が積極的に前に出てきたわけではなく、磐田が引き下がって主導権を譲った。
「“構える”というポジティブな守備ではなく、恐怖心が強くて前に出られなかったというほうが正しいんじゃないかと思う」
かつて磐田でプレーした福西崇史氏は、メンタル面の課題と同時に、残留争いの緊張感を抱えて戦うことの難しさを指摘する。
「柏に勝って、チームは大きな喜びを感じたと思う。10試合ぶりということももちろんだけど、残留争いの暗いトンネルの中で、そこから抜け出せるかもしれないと期待させる大きな勝利だったはず。ただ、翌日、残留争いのライバルである甲府が鹿島に勝ったよね。選手の立場で考えると、やっぱりそのショックが大きかったと思う。『このまま勝ち続けよう』という意識から、『負けられない戦いが続く』という意識にたった1日で変わってしまったわけだから」