F1ピットストップBACK NUMBER
ハプニング続出でもレースは成立!?
F1韓国GPが水を差したタイトル争い。
text by
尾張正博Masahiro Owari
photograph byHiroshi Kaneko
posted2010/10/25 11:45
韓国で初めて開催されたF1グランプリは、週末の3日間、一度として同じ顔を見せることはなかった。
初日のフリー走行1回目でトップタイムをマークしたのはマクラーレンのハミルトンだった。しかし、午後のフリー走行2回目ではレッドブルのウェバーが最速の座に就いた。ラップタイムは約3秒も向上。いかに午前中が滑りやすいコンディションで、午後に向けてアスファルトの上にラバーがのって、グリップ力が向上したのかが容易に想像できる。
フリー走行後にドライバー全員が出席するブリーフィングでは、コースに関して、いくつかの問題が指摘された。まずコース後半に位置する16コーナーと最終コーナーである18コーナーの縁石が低すぎ、そこをショートカットするドライバーが土ぼこりを巻き上げるので、縁石を高くしてはどうかというものだった。そこでFIAは急きょ主催者側に2つの縁石の改修を命ずるのである。
もうひとつの問題はピットロード入口へ導入するための白線である。最終コーナー手前から伸びているこの白線は、ピットインしないで走行する通常走行ラインと同じ軌跡を辿る。しかも、手前の17コーナーはコンクリートウォールが設置されているため、前方が見えないブラインドコーナー。接触の危険性をはらんでいたのである。
そこでFIAは白線はそのまま残すものの、その存在を無視して自由にピットロード入口から入っても良いことにした。
新設サーキットの度重なる悪夢を乗り越えPPを獲ったベッテル。
これで2日目の土曜日は、コース自体に問題もほとんど発生せず、むしろ「キャラクターの異なるコーナーがいくつかあって、攻略しがいのある面白いコース」と、称賛の声まで聞かれるようになった。そして、その補修されたチャレンジングなコースでポールポジションを獲得したのは前日トップタイムをマークしたハミルトンでもウェバーでもなく、ベッテルだった。
すでにレギュレーションで定められている年間使用許容基数の8基目のエンジンを投入しているベッテルは、アクセル全開で走る予選に向けて、午前中のフリー走行3回目でエンジンのマイレージを温存。16番手に甘んじながらも、午後の予選に向けて手応えをつかんでいた。
そして、予選で見事にポールポジションを獲得。日曜日のレースでは、前戦日本GPに続いて2連勝を望める絶好のポジションを確保するのだった。