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ハプニング続出でもレースは成立!?
F1韓国GPが水を差したタイトル争い。
text by
尾張正博Masahiro Owari
photograph byHiroshi Kaneko
posted2010/10/25 11:45
赤旗中断、ウェバーのクラッシュ、観客の大混乱……。
ところが、日曜日の韓国インターナショナルサーキットは雨。
もともと湿地帯を埋め立てて作られた街の郊外に造られたサーキットは、地盤自体の水はけが悪い。加えて、コース自体の排水機能も決して十分とは言えず、それほど強い雨ではなかったにもかかわらず、レースはセーフティカー先導によって開始されることとなった。
時速300kmで毎秒60リットルの排水機能を持つと言われるブリヂストンのレインタイヤによって巻き上げられるウォータースクリーンは想像以上に巨大で、あまりにも酷い視界不良のため、3周を終えた時点でレースは一時中断となった。
赤旗中断は猛烈なスコールが襲いかかった'09年のマレーシアGP以来。再開されてレースが続行されたのは、やはり異常な豪雨に見舞われた'07年のヨーロッパGP以来のことだった。
ちょうどそのころ、サーキットの外でも問題が発生していた。雨でぬかるんだ駐車場へ車を入れられなくなった数万人の観客がサーキット周辺の道路に車を乗り捨てて、レース会場に駆けつけたのである。
そんなに苦労して辿りつき、スタンドを埋め尽くした約8万人の観客の前で、再スタート後、ウェバーがいきなりスピンを喫してクラッシュ。たちまちタイトル争いのリーダーは消えてしまった。
そして、レース後半にはトップを走行していたチームメートのベッテルまでもが、エンジンブロウでリタイア。これでレッドブルは全滅し、代わってトップでチェッカーフラッグを受けたのはフェラーリのアロンソだった。
25点を加点したアロンソのポイントは231点となり、タイトル争いでも首位に浮上。
2位はウェバーで3位にハミルトン、無得点のベッテルは4位に後退した。
3日間、異なるコンディションでドライバーを翻弄し続けてきた韓国GP。その舞台となった韓国インターナショナルサーキットは、タイトル争いの勢力図も大きく塗り替えて、幕を閉じた。