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「貧打」に苦しむヤンキース。
プレーオフ進出への処方箋は?
text by
生島淳Jun Ikushima
photograph byAP/AFLO
posted2013/07/21 08:02
ヤンキース傘下のマイナーチーム、チャールストン・リバードッグスで7月2日に復帰したアレックス・ロドリゲス。22日のメジャー昇格が確実視されているが、果たして……。
主力打者の相次ぐ離脱で、攻撃力が著しく低下。
ヤンキースの問題は、「貧打」ということにつきる。総失点は5球団中もっとも少なく、打者有利の球場を本拠地としながら投手陣が健闘していることがわかる。
ところが打線の方は、ジーター、アレックス・ロドリゲス、テシェイラ、グランダーソン、マーティンといった昨季までの主力選手が移籍、あるいはケガによる戦線離脱が長引いてしまい、彼らに替わる選手たちが穴埋め出来ていない状況だ。
今季のようにケガ人が続出した場合、二塁を守るカノーや、イチローのようにケガなく毎日試合に出られる選手たちの価値が相対的に上がってくるわけだ。ただし、彼らの活躍にも限界はある。
得失点差という指標をもとに考えていった場合、とにかくヤンキースは得点力をアップしないことには、上位3球団に追いつくことは極めてむずかしくなる。しかもシーズン終盤戦ともなれば同地区同士の対戦が増え、嫌でも実力差を見せつけられる結果となるだろう。
トレード期限ギリギリで右打ち内野手を緊急補強か?
前向きな捉え方をすれば、打線の強化という「処方箋」は手元にある。
最良のシナリオは、ジーター、A・ロッド、グランダーソンの3人が8月には揃ってラインナップに復帰していることだ。彼らのポジションを若手が必死に穴埋めしているが、打撃面での生産性は著しく低く、それがネックとなっている。
ベテラン3人が全盛期のような活躍は出来ないとしても、若手がマークしている数字よりアップすることは間違いないし、チームのムードも良くなる。戦線に復帰して1試合でまた故障してしまったジーターには不安が残るが、A・ロッドとグランダーソンには期待が寄せられるだろう。
また、先発投手陣が分厚いので、今季を最後にフリーエージェントになるヒューズをトレード要員として、右打ちの内野手の補強に出る可能性もある。
とにかく、どんな形でもいいから得点を「プロデュース」できる選手が今季のヤンキースには必要なのだ。