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「貧打」に苦しむヤンキース。
プレーオフ進出への処方箋は?
text by
生島淳Jun Ikushima
photograph byAP/AFLO
posted2013/07/21 08:02
ヤンキース傘下のマイナーチーム、チャールストン・リバードッグスで7月2日に復帰したアレックス・ロドリゲス。22日のメジャー昇格が確実視されているが、果たして……。
メジャーリーグの後半戦突入にあたって、こんな質問を多く受ける。
「ヤンキース、プレーオフに出られますかね?」
黒田博樹、イチローがプレーしていることもあって、気になる人が多いのだろう。
私は、こう答えている。
「現状のままでは、かなり厳しいです」
なぜか。その理由を書いていく。
ヤンキースの「得失点差-2」が意味するものとは?
今年のアメリカン・リーグ東地区は、予想通りハイレベルな戦いが続いている。ある時点では、5球団すべてが5割以上をマークしていた。
では、各チームの「中身」を見ていくことにするが、まずオールスター・ブレイクを迎えた時点での順位表を見てみよう。
●2013年 アメリカン・リーグ東地区 前半戦順位
勝利 | 敗戦 | ゲーム差 | 総得点 | 総失点 | 得失点差 | |
レッドソックス | 58 | 39 | ― | 498 | 407 | 91 |
レイズ | 55 | 41 | 2.5 | 449 | 389 | 60 |
オリオールズ | 53 | 43 | 4.5 | 462 | 435 | 27 |
ヤンキース | 51 | 44 | 6 | 373 | 375 | -2 |
ブルージェイズ | 45 | 49 | 11.5 | 428 | 440 | -12 |
今季の東地区の場合、「得失点差」に注目して欲しい。
得失点差の順番で、きれいに1位から5位までが並んでいる。これは何を意味しているのか?
メジャーリーグはシーズン162試合という長丁場を通して、チームとしての総合力を競う場である。1試合、1試合ではなく、中長期的な視点でチーム力を吟味していくと、強いチームは余裕を持って勝ち、弱いチームは接戦をモノにしたとしても、大差で敗れるケースも多いのだ。
そして最終的に総合力を反映した形で順位がおさまる。ちなみに今季のアメリカン・リーグの場合、中地区、西地区も得失点差がそのまま順位に反映されている。