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レッドブルが鈴鹿で歴史を作る!?
大混戦の日本GP、見所を一気紹介。
text by
尾張正博Masahiro Owari
photograph byHiroshi Kaneko
posted2010/10/07 10:30
古豪同士の争いに割り込んだレッドブルもタイトル圏内。
この「25点差以内」というのは、鈴鹿の結果によっていとも簡単に変動するほどの僅差なのである。
チャンピオンの頂へと続く紐は、ここ鈴鹿にまできても、もつれ合った状態のままなのだ。
もうひとつ、これまでの日本GPと異なるのが、タイトルコンテンダーが所属するチーム。これまではマクラーレン、ウイリアムズ、フェラーリの古豪3チームが日本GPで自らの歴史に輝かしい1ページを書き加えていた。
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ところが昨年から、日本GPが行われる鈴鹿でタイトル争いに加わり始めたのがレッドブルである。今年の日本GPではランキングトップのウェバーと4位のセバスチャン・ベッテル(181点)の2人のレッドブルドライバーがタイトルを賭けて鈴鹿を走る。
「空力の天才」が手掛けた最速マシンで優勝候補筆頭に。
レッドブルは'04年末にジャガーを買収して'05年からF1に参戦している新興チームである。そのチームが結成5年目の昨年から突如、タイトル争いに加わるようになったのは、ひとえに彼らが開発したマシンのポテンシャルの高さにある。
鈴鹿は1コーナーからデグナーまでのコース前半区間が非常にテクニカル。したがって、ここではマシンを地面に押しつけるダウンフォースが重要となる。その反面、後半区間に長いストレートがあるため、ダウンフォースを稼ごうとしてウイングを立てすぎると空気抵抗が増えて、直線が伸びない。
ここで大切となるのが、空気抵抗を増やすことなく、ダウンフォースを発生させるという効率のいいエアロダイナミクスだ。そして、この部分において、現在のF1でもっとも優れたエンジニアを擁しているのがレッドブルであり、そのエンジニアが「空力の天才」と高い評価を得ているエイドリアン・ニューウェイである。
今年も鈴鹿と似たような特徴を持つカタロニア(スペインGP)とシルバーストーン(イギリスGP)で圧倒的な速さを披露。
日本GPでも優勝候補の筆頭に挙げられている。