Jリーグ万歳!BACK NUMBER
コンフェデで感じた世界の采配。
駆け引きができる日本人監督を!
text by
細江克弥Katsuya Hosoe
photograph byAP/AFLO
posted2013/07/06 08:01
全ての交代カードを使いきった後も、細かな指示をだし、選手たちを鼓舞しつづけたプランデッリ。監督の力が試合の展開に大きな影響を与えるということを改めて知らしめた。
日本人のメンタリティを熟知する日本人監督の育成を。
ブラジル戦終了後、ザッケローニはキャプテンの長谷部誠を呼び、日本人の細かい性格までは分からないと素直な気持ちを吐露したという。当然である。たった3年間の滞在で、おそらく世界でも異質と言える日本人の細かい性格を完全に理解できるはずがない。しかし果たして、日本人の気質を完全に理解せずして、W杯で優勝するチームを作ることができるのだろうか。
Jリーグは20年という短い時間にしては飛躍的な成長を遂げ、その間何人もの選手を欧州の最高レベルに送り出すレベルにまで成長した。さらなる成長のためにいくつもの課題をクリアしなければならないことは間違いないが、ここまでの歩みは20年の成果としては十分なものだったと思う。今後も試行錯誤を繰り返しながら組織を充実させ、世界に通用する個人を輩出すればいい。
プラスアルファとして、挑むべき課題は指導者の育成である。ブラジルにはブラジル人の、イタリアにはイタリア人の、スペインにはスペイン人の監督がいる。日本人のポテンシャルを引き出すためには、やはり日本人のメンタリティを熟知する日本人監督が適している。世界レベルの駆け引きを知る日本人監督が、一刻も早く出てきてほしい。そして、それを育成する舞台はJリーグであることが望ましい。
そろそろ海外で活躍する指導者が出てきてもいい。
先日、国立競技場で引退試合を行った藤田俊哉が、いよいよ指導者としてのセカンドキャリアを歩き始める。修行の場として海外を選んだ理由を、彼はこう話した。
「これだけの選手がヨーロッパで活躍できるようになっていますし、今後、同じようにヨーロッパで活躍する指導者が出てきてもいい。まだまだ未知数だけど、最初の一人として頑張りたい」
確かにそう思う。そろそろ海外で活躍する指導者が出てきてもいい。この言葉が、Jリーグを舞台とする日本人監督たちの刺激になってほしい。日本を世界のトップレベルに導くためには、選手の成長に遅れを取らないだけの日本人監督の成長が求められている気がしてならない。