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熾烈なソチ五輪代表争いの鍵を握る、
フィギュア選考基準の中身とは――。
text by
松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph byAFLO
posted2013/06/30 08:02
昨年の全日本選手権後に選出され、3月の世界選手権に出場した高橋大輔ら。
ただし、全日本選手権を欠場すると例外なく落選……!?
ただ、今回ひとつ気になるのは、全日本選手権への出場を義務付けたことだ。バンクーバー五輪時は、過去に世界選手権6位以内の実績を持つ選手であれば、怪我などで欠場しても選考対象に加えられる余地があった。しかし今回は救済措置をなくし、全日本選手権に出場することが必須となったのである。
一発選考ではなく、総合的な判断で決めるということであれば、救済する余地を残してもよかったようにも感じるが……。アクシデントに打ち克つ選手を望む、ということであるのかもしれない。
さらに、ソチ五輪で新種目として採用される団体戦に出場する場合の男女シングルの選手の選考基準も決定。
五輪代表選手の中で、ショートプログラム、フリーそれぞれ、全日本選手権終了時点のISUシーズンベストスコア最上位の選手が団体戦に出場する。ただし、同一選手がともに最上位である場合は、フリーは次点の選手が出る。つまり、異なる選手で臨むことになった。
オリンピックで、フィギュアスケートの各種目の中で最初に実施される団体戦は、ペアやシングルなどの種目のスケジュールと間がないため、掛け持ちする選手の負担が懸念されていた。シングルでメダルが有力な選手の場合はなおさらだ。だから、誰を出場させるのか、考える余地はいろいろあったと思うが、逆にシンプルに成績に応じて選ぶ方針を打ち出したことになる。
どの選手がソチで舞おうとも、公明正大な選考を望む。
いずれにせよ、選考基準は決まった。
選ぶ側の力量と見識が問われることになるし、責任も重いものとなる。少なくとも、選考後、判断の道筋だけは、明らかにしてほしいところだ。
そして選手にとっては、全日本選手権優勝がもっとも明確な代表決定ということになった。そしてグランプリシリーズに出場しない選手、例えば安藤美姫にとっては、全日本選手権の出場資格を得る必要があるなどハードルはあるが、ソチへの活路はそこにしかない。あるいはチャンスを得られたと言えるかもしれない。