Sports Graphic NumberBACK NUMBER

<本を読めば速く走れる?> 為末大 侍ハードラーの競技力向上本読み術。 

text by

生島淳

生島淳Jun Ikushima

PROFILE

photograph byTamon Matsuzono

posted2010/09/13 06:00

<本を読めば速く走れる?> 為末大 侍ハードラーの競技力向上本読み術。<Number Web> photograph by Tamon Matsuzono

トレーニングの発想にも見られる東洋と西洋の違い。

「ニスベットの『木を見る西洋人 森を見る東洋人』という本は、西洋人と東洋人の考え方の違いを知る上で興味深かったです。たとえば病気の治療にあたる場合、西洋人は患部を切り離します。つまり、外科手術。それに対して東洋人は病気の原因を1カ所に特定するのではなくて、他の部分との関連性を探っていく。これは漢方の考え方で、実はトレーニングの発想も似てるんです。西洋人は個別に部位を鍛えていくんですが、東洋人、特に日本人は『コーディネイト・トレーニング』が好きなんですよ。ここを鍛えれば、その関連性でここも鍛えられる、というような。ひとつのトレーニングに複数の意味を持たせることが日本人は特に好きだし、上手だと思う。おそらく、全体をとらえる能力に優れているんでしょう。『調和の哲学』というのかな」

『タオ――老子』 加島祥造著 ちくま文庫

 為末が東洋の哲学、特に老子に興味を持っていることは、加島祥造の『タオ――老子』を持参してきたことからもわかる。

「東洋といっても中国と日本ではかなり違いますが、古い中国の本はスッと入ってきます。老子をひと言で要約するのはむずかしいですが、人為的なものではなくて、自然であることが重視されています。こうした発想は走るときの感覚を言葉にするのにも役立っていて、すごく本気で走っていると自分の装飾を剥いでいく感じになる。そうするといろいろな役割を演じている自分が消えていく感じになって、シンプルに走っている感覚だけになる。疾走感だけ。『積極的無抵抗』とでも言うべき状態になったことがあるんです」

 実はそうしたゾーン体験は、世界選手権で2回メダルを取ったときにやってきたのだという。

(続きは Number761号、もしくはNumberモバイルで)

アスリートの本棚。読書が彼らを強くする
コメントする・見る

関連コラム

BACK 1 2

この記事にコメントする

利用規約を遵守の上、ご投稿ください。

為末大

陸上の前後のコラム

ページトップ