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プレミア後半戦で監督交代ラッシュ。
危険な賭けが残留争いに及ぼす影響。 

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山中忍

山中忍Shinobu Yamanaka

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posted2013/04/10 10:30

プレミア後半戦で監督交代ラッシュ。危険な賭けが残留争いに及ぼす影響。<Number Web> photograph by AFLO

サンダーランドのシャツを手に、新監督就任会見に臨んだディカーニオ。現役時代はウェストハムなどプレミアで7年間プレーしている。

「残留争い」強者、ウィガンの士気は例年以上に高い。

 残る1つの降格枠には、サンダーランド、ウィガン、アストン・ビラのいずれかが納まると思われる。後者2チームは、オーナー自らが監督交代を良しとしない降格候補だ。

 ロベルト・マルティネス率いるウィガンは、過去3年連続で、熾烈な残留争いを勝ち抜いた実績を持つ。今年も、まるで、4月を前に目覚まし時計が鳴ったかのように、今季2度目のリーグ戦2連勝で3月を終えた。例年との違いは、FAカップ決勝進出の可能性を残して4月を迎えた点だが、クラブ史上初の偉業達成に向けて、終盤戦での士気は例年以上に高まっている。

 アストン・ビラでは、昨夏にノリッチから引き抜かれて指揮を執るポール・ランバートが、チームの若返りに取り組んで苦戦しているが、自身が獲得したクリスティアン・ベンテケの存在が心強い。

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 空陸両用で、リーグ戦28試合14得点の1トップには、残るマンUやチェルシーとの対戦でさえゴールが期待できる。個人の牽引力には限りがあるが、プレミアには、7年前のカルロス・テベス(現マンC)という前例もある。ウェストハム移籍1年目だったテベスは、シーズン最後の2カ月に7得点で残留を可能にした。即戦力としての信頼度では、今季のベンテケが、シーズン7得点に終わった当時のテベスよりも上だ。

サンダーランドの難点は、「12人目」の後押しの弱さ?

 両軍に対抗するサンダーランドは、新監督のインパクトに頼るしかない。

 ディカーニオは、母国のラツィオやプレミアのウェストハムなどで活躍した現役当時も、闘志とカリスマ性溢れるFWだった。オニールも「熱血漢」として知られるが、61歳から44歳への監督交代を、「熱血漢」の世代交代によるエネルギー注入と受け取ることはできる。

 しかし、監督歴が、4部優勝に導いたスウィンドンでの1年7カ月しかないディカーニオには、イングランドの代表監督候補と目されたこともあるオニールのようなノウハウもなければ、残留争いの経験もない。4年前の4月、監督経験なしにニューカッスルで残留争いの指揮を執ったアラン・シアラーは、地元出身の英雄として、ファンの絶大な支持を受けての就任でも、8試合で1勝しかできず、降格回避に失敗した。

 就任の知らせが、ナチス式敬礼で勝利を祝うラツィオ時代の写真と共に各紙で伝えられたイタリア人新監督には、ファシズム信奉者としての背景から、初采配を待たずに、サポーターの間で退任要求や観戦ボイコットの声まで上がっている。チェルシー戦に始まり、エバートン戦を経てトッテナム戦で終わる残り試合は、ウィガンとアストン・ビラよりも困難。おまけに、「12人目」の後押しが弱いとなれば、残留争いは困難を極める。

 サンダーランドのオーナーは、ディカーニオの就任発表声明の中で、「残留の可能性が高まった」と語っている。だが、実際には、土壇場の監督交代という不条理な行動そのものが、降格の可能性を高めたと言わざるを得ない。そして、オーナーがパニックを避けた他チームが、プレミアのステータスと、プレミア史上最高の“TVマネー”で報われることになるだろう。

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