欧州サムライ戦記BACK NUMBER
マンUで「毎試合出場とフル出場」を。
香川真司、プレミア仕様に変身中!
text by
了戒美子Yoshiko Ryokai
photograph byAP/AFLO
posted2013/04/10 12:35
ダービーマッチが終わった直後の香川。その表情からはチームでの複雑な立場が窺われるが、次のビッグチャンスを待つしかない。
後半13分過ぎ、香川真司はこの試合中初めてのウォーミングアップを開始した。真剣な表情で戦況を見つめ、ダッシュを繰り返す。立ち止まり、ストレッチを交えそしてまた走る。来るべきチャンスに向け気持ちを高めていることも見て取れる。だが、ものの数分でベンチに戻り、それ以降は座ったままで試合終盤を迎えた。
後半ロスタイム、アップ中に呼ばれる形ではなく、スタッフに呼ばれてベンチから立ち上がり準備を始める。負傷したヤングの代役として急遽ピッチに立つ事になったのだ。だが、ピッチに立った香川はいつになくボールが足につかなかった。直後自陣でパスミスをおかし、バレンシアの警告を誘発した。ビハインドの状況、慣れない形での途中出場も理由なのだろうか。
見せ場がないどころか全く良いところなく、数回のボールタッチで、香川は4月8日のダービーマッチを終えた。
試合前には自らのツイッターで「街がいつも以上に盛り上がっています」とつぶやき、ホームでのマンチェスター・ダービーを楽しみにしている様子は伝わっていたのだが。
実はこの日は、香川が先発出場するのではないかと現場記者の多くは読んでいた。
3月2日のノリッチ戦以降、香川はちょうど1試合おきに先発していたからだ。計算通りであれば、この日は香川の出番があるはずだったのだが、どうやら香川はファーガソン監督の計算には入っていなかったらしい。この途中出場はあくまでイレギュラーのものであり、何かを期待されて入る本来の途中交代ではない。
怪我からの復帰以来、香川の出場数がなかなか増えない。
ただでさえ、香川の置かれている状況は厳しい。
開幕当初はスタメンが続いたが、昨年12月29日に故障から復帰して以降、状況はなかなか上向かない。1月はほぼ2試合に1度の先発。CLの決勝トーナメント1回戦1stレグとなるアウェーでのレアル・マドリー戦に照準を合わせたと見られる2月は、5試合で先発はわずかにそのレアル戦のみだった。そして3月、再び2試合に1度先発するペースに戻ったのだが、ここで2試合連続でベンチスタートとなっている。いくら、ターンオーバーで選手を起用するとはいえ、香川に何かしら課題があると取るのが自然だろう。