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プレミア後半戦で監督交代ラッシュ。
危険な賭けが残留争いに及ぼす影響。 

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山中忍

山中忍Shinobu Yamanaka

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posted2013/04/10 10:30

プレミア後半戦で監督交代ラッシュ。危険な賭けが残留争いに及ぼす影響。<Number Web> photograph by AFLO

サンダーランドのシャツを手に、新監督就任会見に臨んだディカーニオ。現役時代はウェストハムなどプレミアで7年間プレーしている。

監督交代と2部降格にまつわるプレミアのジンクス。

 3月上旬に、19位でブライアン・マクダーモット監督を解雇したレディング経営陣も、やはり「金銭欲」が先行して判断力を欠いたと思われる。

 過去20年のプレミア史に、降格圏内で迎えた2月以降の監督交代が、残留につながった例はない。しかも、マクダーモットは、昨季の2部リーグ優勝で昇格を実現した功労者だった。今季の戦力は、補強不足で2部レベルのまま。2位で2部から昇格したサウサンプトンにも劣る。誰が監督でも苦戦は避け難かったはずだが、ロシア人オーナーは、マクダーモットに責任を押し付けた。

 吉田麻也が所属するサウサンプトンは、1月中旬に、3部から2季連続昇格を実現させたナイジェル・アドキンス監督を解雇した。当時の順位は15位。だが、降格圏に近付いたのではなく、降格圏を脱した時点での人事という点で、今回のサンダーランドとは異なる。

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 イタリア人実業家が先頭に立つサウサンプトンのフロント陣は、来季以降の欧州進出をも視野に入れた監督交代だと説明している。アドキンスにとっては残酷な仕打ちであり、プレミア経験のない若手外国人監督の抜擢は、大きな賭けでもあったが、 たしかに、前向きな交代ではあった。

レディングは、QPRとの“ブービー賞”争いが精一杯?

 後任のマウリシオ・ポチェッティーノは、就任前月から新任地の戦力を分析する時間を与えられた上で采配を任された。

 前監督下では大雑把な攻撃サッカーをしていたチームは、新監督にポゼッション・サッカーという明確な方向性を与えられ、組織力と集中力が高まったようにも見受けられる。監督交代後、マンチェスター・シティ、リバプール、チェルシーの上位勢から勝利を奪ったチームは、降格圏から4ポイントしか離れていない12位とはいえ、上昇気流に包まれて3月を終えている。

 一方、その上昇気流を、土壇場の監督交代で生み出そうとしたチームの前途は暗い。

 最下位で4月を迎えたレディングでは、第31節を前に、サウサンプトンを追われたアドキンスの就任が決まった。

 モチベーターとしての腕前は古巣でも評判だったが、今季前半のサウサンプトンで失点が止まらなかったように、確実に結果を重ねられるタイプの指揮官ではない。レディングでの初采配も、アーセナルに4失点の大敗。勝ち点を今季の残留目安と言われる37ポイントに伸ばすには、残り試合のうち、リバプール戦とマンC戦を除く5試合に全勝する覚悟が必要だが、リーグ戦31試合で僅か5勝のチームでは望み薄だ。

 QPR――開幕から降格圏内に根を張り、昨年11月にハリー・レドナップを新監督に迎えた後も、後方が締まれば前線で決定力を欠き、点を取れば拙守に泣く試合を繰り返している――との“ブービー賞”争いが精一杯だろう。

【次ページ】 「残留争い」強者、ウィガンの士気は例年以上に高い。

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