プレミアリーグの時間BACK NUMBER
吉田麻也のレギュラー争いにも激震!?
サウサンプトン監督電撃交代の内実。
text by
山中忍Shinobu Yamanaka
photograph byAFLO
posted2013/01/30 10:31
1月21日の第23節ホームでのエバートン戦、87分に交代したパンチョン(左)と握手を交わすポチェッティーノ新監督。試合後、監督の意向で急遽、チームはバルセロナに渡り短期合宿を行ない、リーグ再開に備えた。
解任危機を何度も乗り越えてきたアドキンスだが……。
アドキンスは、今季の解任第1号になっていても不思議でなかった。
国内各紙で「秒読み」と報じられたのは、11月初旬の第10節WBA戦(0-2)後。引分けを挟むリーグ戦4連敗で最下位に落ち、当人も「決断が下っても仕方がない」と覚悟のコメントを出していた。開幕10試合を計28失点の8敗という成績では、47歳のプレミア1年生監督が、情け無用の会長に「力不足」と見限られても仕方のない状態だった。
実際には、直接会談で最後通告を受けたアドキンスが、「当たって砕けろ」とでも表現すべき序盤戦での戦闘姿勢をやわらげたことにより、サウサンプトンは接戦を演じられるようになっていた。
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その一例が、カウンター狙いで引分けたアウェイでのチェルシー戦。チームは、WBA戦後の12試合を計12失点の2敗のみで乗り切り、15位まで浮上していたのだ。その過程では、前回対決では6失点で完敗したアーセナル戦でも1対1で引分けている。
ところが、やはりコルテッセは堪え切れず、水面下で後任人事に動いた。アドキンス解雇を決めたイタリア人権力者は、即座に、アルゼンチン人のマウリシオ・ポチェッティーノ新監督との2年半契約を発表した。
前監督と同じ戦術で、成績を上げられるのか?
ここで問われるのは、ポチェッティーノという人選の是非だ。
「魅力ある攻撃的なサッカーをしたい」という本人の発言にしても、高いラインで攻めていたポチェッティーノ時代のエスパニョールにしても、前監督との間に明確なスタイルの差異は見当たらない。となれば、「長期的な野望を失わないために」として監督の首を挿げ替えた会長は、攻撃的なスタイルは据え置きで、アドキンスにはなし得なかったと思われる結果を、後任に求めていることになる。
これは危険な賭けだ。40歳のポチェッティーノは、プレミア初体験であることはもちろん、監督としての前歴はエスパニョールでの4年弱しかない。1年目は、後半戦から指揮を執ったにもかかわらず、残留が危ぶまれていたチームを10位に導いた。だがその後は、中村俊輔の獲得など話題を振りまきはしたが、10位前後の成績が精一杯。結局、昨年11月末にはリーグ最下位の監督として首を切られた。いずれも、「アドキンス以上」を確約するものではない。