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吉田麻也のレギュラー争いにも激震!?
サウサンプトン監督電撃交代の内実。 

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山中忍

山中忍Shinobu Yamanaka

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posted2013/01/30 10:31

吉田麻也のレギュラー争いにも激震!?サウサンプトン監督電撃交代の内実。<Number Web> photograph by AFLO

1月21日の第23節ホームでのエバートン戦、87分に交代したパンチョン(左)と握手を交わすポチェッティーノ新監督。試合後、監督の意向で急遽、チームはバルセロナに渡り短期合宿を行ない、リーグ再開に備えた。

 1月18日、サウサンプトンでナイジェル・アドキンス監督の首が飛んだ。

 アドキンスは、3部リーグからの2年連続昇格で、クラブのプレミアリーグ復帰を実現した指揮官。自身は初挑戦のプレミアで、前半戦を降格圏内で終えたものの、解任時点では、リーグ戦での連続無敗を5試合に伸ばし、チームを安全圏に押しとどめる兆しを見せていた。その2日前には、チェルシー戦(2-2)で1ポイントを奪ったばかりでもあった。

 サウサンプトン・サポーターの間で、「残酷すぎる」、「馬鹿げている」といった、非難と怒りの声が上がったのも頷ける。中立的な立場の筆者にしても、解雇のタイミングには首を傾げざるを得なかった。サウサンプトンの選手たちも同じ心境だったに違いない。

 アドキンスの下で先発メンバーに定着していた吉田麻也にしても、チェルシー戦を終えて、「モチベーションは高いし、上位勢からポイントを奪えるようになった。下のチームとの差をもっと広げていきたい」と、手応えを語った矢先の監督交代だった。

クラブと心情的な絆が弱い外国人経営者が増えたことの弊害も。

 だが、ファンや選手の思いとは無関係に監督の命運が決してしまうのが、クラブとの心情的な絆が弱い外国人経営者が増えた、昨今のプレミアだ。サウサンプトンで実権を握るニコラ・コルテッセ会長も例外ではない。

 アドキンスとの折り合いの悪さと、人事変更の可能性を指摘する内部の声は、今季開幕前から漏れ聞こえてきた。

 非情なオーナーと言えば、昨季CL優勝監督のロベルト・ディマッテオを今季のプレミア解任監督第1号にした、チェルシーのロマン・アブラモビッチが筆頭格と言えるが、コルテッセが、メディアで「イタリア人版アブラモビッチ」と形容されたのは、今回が初めてではない。

 サウサンプトンが3部にいた2年半前、アラン・パーデュー監督(現ニューカッスル)が解雇された際にも、その冷酷さの元祖となるチェルシーのロシア人オーナーに例えられた。

 パーデューは、クラブをウェンブリー・スタジアムでのジョンストンズ・ペイント・トロフィー優勝に導いた人物。3部と4部リーグ勢のみによるマイナーなカップ選手権だが、当時のサウサンプトンにとっては、34年ぶりの貴重なタイトル獲得だった。

 センターFWのリッキー・ランバート、ウィンガーのジェイソン・パンチョン、CBのジョゼ・フォンテなど、現主力の数名を獲得したのもパーデューだ。しかし、会長との確執が指摘された指揮官は、僅か1年で解雇を告げられた。

【次ページ】 解任危機を何度も乗り越えてきたアドキンスだが……。

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