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31年ぶりに“JAPAN”消滅のF1界。
いまこそ問われる、日本人の真価。
text by
尾張正博Masahiro Owari
photograph byHiroshi Kaneko
posted2012/12/26 10:30
モナコでの可夢偉の派手な激突シーン。日本GP3位など、2012年も可夢偉は多くの日本人ファンに夢と希望を見せてくれていたのだが……。
ファクトリーで際立つ日本人エンジニアの技術力。
F1で存在感を見せているのは、日本グランプリだけではない。現在、F1界では多くの日本人が活躍している。
マクラーレンの今井弘はビークルエンジニアリング部門のプリンシパルエンジニアとして、'12年のカナダGPなどチームの勝利に幾度となく貢献してきた。
長年ブリヂストンのモータースポーツ活動を牽引し、'12年にフェラーリに移籍した浜島裕英も、いまでは名門チームに欠かせないキーパーソンとなっている。
元ブリヂストンのスタッフだけではない。ロータスでレースエンジニアを務めてきた小松礼雄は、高校卒業と同時にF1のエンジニアを目指して渡英。自ら、その道を開拓し、レースエンジニアとして、確固たる地位を築いている。
この3名だけではない。他にもフォース・インディアとケータハムでは日本人エンジニアが要職に就き、マクラーレンとウイリアムズには日本人のメカニックが汗を流している。サーキットで戦っているレースチーム以外にも、ファクトリーでは多くの日本人がマシン開発に精を出し、いまでは日本人スタッフがいないチームはないと言われるほどまで、F1で日本が占める割合は増している。日本人が思う以上に、日本はF1界から必要とされているのである。
ホンダの参戦とともに始まった日本のF1への挑戦は、日本企業という枠を超えて、F1にしっかりと根ざしつつある。
'13年は、それを見る側も日本という枠を超えた応援を期待したい。