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31年ぶりに“JAPAN”消滅のF1界。
いまこそ問われる、日本人の真価。
text by
尾張正博Masahiro Owari
photograph byHiroshi Kaneko
posted2012/12/26 10:30
モナコでの可夢偉の派手な激突シーン。日本GP3位など、2012年も可夢偉は多くの日本人ファンに夢と希望を見せてくれていたのだが……。
チーム、エンジン、タイヤからも消えた“日本企業”。
前回、フル参戦する日本人ドライバーがF1で不在となっていた'00年から'01年までの2年間、F1ではホンダが復活し、ブリヂストンが勝利を重ねていた。
しかし、そのホンダとトヨタも'08年と'09年に相次いで撤退し、ブリヂストンも'10年を最後にF1から姿を消した。
ホイールメーカーや音響メーカーなど、いくつかの日本メーカーがサプライヤーとしてレース活動を継続しているものの、ドライバー、チーム、エンジン、タイヤという主要部門から日本人や日本の会社の名前が姿を消すのは、ホンダが第二期F1活動を再開した1983年以前、今から31年前まで遡らなければならないという異常事態なのである。
このまま日本メーカー不在の状況が続けば、F1での技術者の育成という点においても、今後日本は厳しい現実に直面することになるだろう。
実はイタリアやフランスも状況は極めて厳しいのだが……。
ただし、厳しいのは日本だけではない。
例えば、イタリアは1969年以来、43年ぶりにF1にイタリア人ドライバー不在というシーズンを送ったばかりで、12月21日時点で2013年のドライバーラインアップにも、依然として母国人ドライバーの名前を復活させることができていない。
また、2012年に3人のドライバーをF1に輩出したフランスも、その前年までの数年間はF1ドライバーが不在だった。
さらにグランプリ開催に関していえば、フランスは'08年を最後に途絶えたまま。その点、日本は'87年から26年間連続でF1を開催し続けている。これはイギリス、イタリア、モナコ、フランス、ドイツ、ブラジル、ベルギー、オーストラリア、ハンガリー、スペインに次ぐ連続開催を誇る堂々たる数字だ。