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リーガのトップ2には結局迫れず……。
バレンシアの監督解任の背景とは。
text by
横井伸幸Nobuyuki Yokoi
photograph byGetty Images
posted2012/12/12 10:30
ペジェグリーノ解任後は12月5日のCLリール戦、12月8日のオサスナ戦と共に1-0で連勝を飾ったバレンシア。写真はリール戦で決勝点となるPKを決めたMFジョナス。
バレンシアがマウリシオ・ペジェグリーノ監督を解任した。第14節でレアル・ソシエダに2-5の大敗を喫した後のことだ。
ペジェグリーノは'99年から'04年まで続いたバレンシアの黄金時代をディフェンダーとして支えた1人で、カンテラでの指導を除くと監督経験はゼロだったが、ジョレンテ会長直々の選出により、この夏からチームを指揮してきた。
解任理由は、毎度お馴染み、リーガにおける低迷である。
順位は14節を終えて12位。首位バルサとのポイント差は22。目標である3位(レアル・マドリー)との差は11。アウェイゲームは7戦勝ち無しという体たらく。CLでは2年ぶりにグループステージを突破したが、クラブは前述のレアル・ソシエダ戦やその前節のマラガ戦0-4の敗退を問題視した。
ところでこの解任に際して、ペジェグリーノに足りなかったのは「厳格さ」であり、「そもそもバレンシアに必要だったのは鬼軍曹タイプの監督」という声が上がっている。
ウナイ・エメリが率いた昨シーズンまでのバレンシアは、ビジャやシルバ、マタら主力中の主力を次々に失いながらも力は落とさず、直接対決においてはバルサやマドリーを苦しめるほどのチームだった。
それなのに2強との差が縮まらなかったのは、シーズンを通してパフォーマンスを安定させることができなかったから。即ち、選手のメンタル面のコントロールができていなかったからなので、後任には厳格な監督を連れてくるべきだったという論法だ。
「良い監督」の条件を、監督版バロンドール候補で考えてみる。
実際、強いチームを作る上で、チームマネージメントは非常に重要な要素である。
選手にやる気を起こさせ、サブ組にモチベーションを維持させ、集中させ、チームを意識させる――「良い監督」には欠かせない能力だ。
ただし、厳しくやることだけがその手段ではない。
今年の監督版バロンドール賞にノミネートされている3人を較べてみても、やり方はバラバラだ。