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マラドーナを超えてスクデットへ!
ついに本気になったナポリの快進撃。
text by
弓削高志Takashi Yuge
photograph byAFLO
posted2012/12/11 10:30
ゴールを量産して異例の評価を受けるFWカバーニ(手前)と、中盤のリーダーとしてチームの鍵を握るMFハムシク。
クリスマスと年の瀬が近づいた。あらゆる市場が賑わいを増す南イタリアの下町界隈で、ナポリっ子の威勢がとびきりいい。
今シーズン、打倒ユベントスを旗頭として臨むナポリは、開幕から上位をキープ。8節に行なわれたトリノでの直接対決では惜しくも敗れたが、その後は地方クラブ相手に取りこぼすこともなく白星を重ねてきた。15節終了時点での勝ち点33は、昨年の同時期と比べて9点も多い。マラドーナとカレカの強力FWコンビを擁した1990年のスクデット・シーズンすら上回るハイペースで、“貴婦人”をピタリと追走している。
英雄マラドーナに比肩する、FWカバーニの得点能力。
「マラドーナの記録を破りたい。自分の名前をクラブ史に残したいんだ」
エースFWカバーニが狙うのは、英雄マラドーナが持つクラブ通算得点記録「115」だ。今季も国内外を問わずゴールを量産するウルグアイ代表FWは、決勝トーナメント進出を決めたUEFAヨーロッパリーグでも7得点を上げ、新記録へ猛スピードで迫っている。
ELグループリーグの4節ドニプロ戦では1人で圧巻の4ゴールを挙げたが、その内容が凄まじかった。開始8分で先制点を決めた後、チームはあえなく逆転を許してしまう。大会敗退の危機に奮起したカバーニは、後半残り12分にFKで同点にすると、43分に逆転弾、ロスタイムにはダメ押し点まで決めてしまった。
「もはや彼に適切な形容詞は見つけられない。(英雄マラドーナを意味する)“10”はナポリにとって神聖な数字。我々もそれをもって称えたい」
試合翌日の『ガゼッタ・デッロ・スポルト』は禁断の評点“10”を与えた。例外中の例外である評点10は、イブラヒモビッチやカカ、あのジダンやロナウドでさえ誰一人取ったことがない。それほど、カバーニの得点能力は突出しているが、ナポリの強みは彼頼みに終わらない点だ。