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楽天の年間チケット収入はいくら?
身近な知識でビジネス規模を掴む。 

text by

葛山智子

葛山智子Tomoko Katsurayama

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photograph byShiro Miyake

posted2012/10/23 10:30

楽天の年間チケット収入はいくら?身近な知識でビジネス規模を掴む。<Number Web> photograph by Shiro Miyake

日本製紙クリネックススタジアム宮城(Kスタ)は昭和25年竣工、平成17年より楽天イーグルスが本拠地として使用している。収容人数の少ない点が指摘されているが、都市公園法の規制があり簡単ではないと言われている。

 いよいよプロ野球日本シリーズが始まる。日本一の座をかけてぶつかる両チームの戦力や戦略の分析を楽しんでいる読者も多いのではないだろうか。一方で、戦いを終えたチームのファンは、来季への戦力強化について、思いを巡らせているかも知れない。

 チームを強化するために必要なことは、有力な選手の獲得だけではない。「戦力」を確保するためには財源が必要となってくるが、各球団の売上はどれくらいの規模か想像がつくだろうか。

楽天のチケット収入は数十億? 数百億?

 実際の値を知っている場合はいいのだが、売上規模についての数字が手元にない場合もある。今回は、そのようなときでも、根拠をできるだけ論理的に押さえながら概算をだす方法について考えてみたい。

 日本のプロ野球の球団の収入にはチケット収入、広告・スポンサー収入、放映権収入などがある。今回は、その中でも多くを占めるチケット収入(年間)の規模を考えていきたい。

 その規模は、数億円規模なのか、数十億円規模なのか、はたまた数百億円規模なのか。

 今回は、楽天のチケット収入を予測してみよう。

 予測をする際にまず重要なことは、チケット収入総額をひと固まりのものと見ていきなり当てに走るのではなく、チケット収入というのはどのような数字の掛け算(もしくは足し算)で書き表すことができるかを考えることである。

 大まかに考えると、以下のような計算式が1例として挙げられよう。

 よって、チケット収入総額は以下のように整理できる。

 ここまで来ると、野球をよく観戦する読者は、それぞれの白色ボックスの数字の大体の予測が立ち始めるのではないだろうか。

 それでは白いボックスのそれぞれの数値を個別に予測していこう。

 スタジアムの収容人数は、日々のニュースで流れる観客数報告などをきいていると、30,000~45,000くらいではないだろうか。楽天の専用球場であるKスタ宮城は小さい球場なので、25,000くらいと仮定する。

 座席稼働率については、球場での観戦、TV観戦をしながら、平均的にどれくらい席が埋まっている感覚を持つだろうか。もちろん球団により差があるが、ここでは筆者の感覚で平均60%~70%という数値をおいてみたい。TV中継に映る座席はかなりの確率で埋まっているが、球場全体を見渡してこれくらいだと仮置きした。

 さらに年間ホームゲーム数は72試合。そしてチケット平均価格は2,500~3,000円といったところであろうか。

 これらの数字を上記の数式に当てはめてみる。

 この数式から導かれる、チケット収入総額は、約32.2億円となる。

 実際には、どのくらいチケット収入があったのか。

【次ページ】 ビジネス規模を把握する「フェルミ推定」。

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