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来季のユニフォームもヤンキース!?
イチローの契約を左右する4人の男。
text by

生島淳Jun Ikushima
photograph byNaoya Sanuki
posted2012/10/01 10:31

試合前の守備練習で、外野のポジションで共に競いあっているベテランのイバニエスと談笑するイチロー。
ガードナーのケガが完治すればレフトの座席は消滅!?
●カーティス・グランダーソン(31歳/打率.229 本塁打40本 OPS.802)
グランダーソンは今季で契約が切れるが、来季については球団オプションになっている。つまり、ヤンキースが現在のグランダーソンをどう評価するかにかかっているのだが、本塁打は期待できるが、打率が低いのが問題。ただ、ベテランのパワーが減退しているのが目立つヤンキース、グランダーソンの長打力は魅力。オプションを行使し、残留すると見る。
●ラウル・イバニエス(40歳/打率.236 本塁打18本 OPS.758)
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今季、スプリングトレーニングが始まる前に約1億円で契約を交わしたイバニエスだが、年俸分は働いたという印象。しかし、年齢的なことを考えると再契約の可能性はゼロに近い。
●ブレット・ガードナー(29歳/打率.321 本塁打0本 OPS.817)
今季の成績は10試合だけのものなので、アテにはならない。キャリアでのOPSは.723。実は彼のヒジの故障が思ったより重症だったことから、ヤンキースはイチローとの契約を決断した。
このガードナーがイチローの去就については大きな影響力を持っていて、ヤンキースとの契約が2014年まで残っている。つまり、ケガが完治さえすれば、レフトのポジションはガードナーのものとなる。メジャーの場合、投資額が大きいので、契約が残っている選手であれば、開幕の時点では必ず起用されるのが通例だ。
同じタイプのガードナーとは、打順で考えると並び立たない!?
難しいのは、ガードナーとイチローが同じタイプの選手であることだ。
俊足好守、打席では長打力はなくヒットで出塁を目指す。たとえば、同じタイプの打者ふたり、イチローとガードナーを8番、9番に並べるのはヤンキースの好みではない。だからイチローはファーストオプションではないのだ。
イチローに再契約の目が出てくるとすれば、それはスウィッシャーが他の球団と契約を交わした時だろう。