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“自然児”池田勇太がリベンジに燃える!
日本ゴルフツアー選手権の敵は「自分」。
text by
三田村昌鳳Shoho Mitamura
photograph byTaku Miyamoto
posted2010/06/02 10:30
米ツアーは、選手を見ているだけでも面白い。
――池田選手の、感性のゴルフというか、自分の感覚を大切にしてプレーするというのは、いつごろから?
「その感覚って自然な現象だと思うんですけどね。情報をゼロにしていけば、すぐに必要なことを吸収できるでしょう。あれこれ不必要な情報が、元から入っていないんですから。子供のころからそういう感覚でいたので、今もその姿勢は変えたくないですし、それが自分らしいと思う。ゴルフに限らず、初めて人と会うときでも、先入観は、邪魔になるでしょう」
――米ツアーで戦って、ワクワクすることは?
「ともかく面白い。日本と違いますね。例えば、選手を見ているだけでも面白い。なんでこんな無茶苦茶なスイングしているのに、凄くいい球筋のショットを打つんだろう、とかね(笑)。自分のスイングも独特ですけど、本当にみんな個性があって、しかも凄い技術を持っているわけでしょう。
だからすぐに真似してみるんですよ。それが自分の引き出しになるので。なにしろ、普段からテレビでチャンピオンズ・ツアーを見て、面白がっているタイプですからね(笑)」
――つい、見とれちゃう?
「ええ(笑)! それに、知らないところを見たり聞いたり、行ったりするのが好きなんです。だから、ツアーで旅するのって大好きですね」
飛距離の差にショックを受けず、どうカバーするかを考える。
――よく世界のメジャーや海外で戦ってくると、飛距離の差という壁にぶつかる選手が多いようですが、池田選手の場合はいかがですか?
「マスターズで、フィル・ミケルソンさんが13、14番ホールでイーグル、イーグルを獲ったとき、あのドライバーの飛距離なら、第2打はあの番手で打っていけるんだ、それでその番手だと、あのグリーンの狭い落としどころに、いい落下角度で(止まるボールを)落とせるんだ、と思ったことは確かです。必要なときに必要な飛距離が出せるのは、確かにいいことですね」
――うらやましい?
「いえ、そうは思わないです。その距離の差を感じてショックを受けるのではなく、問題は、自分はどこでカバーするのか、だと思うんですよね。ドライバーできっちりフェアウェイに置いて、なおかつフェアウェイから高い精度のアイアンショットで、いい位置にボールをつけたら、彼らだって嫌でしょう? パワーだけでは、ねじ伏せられない手ごわい相手と見られるし(笑)。そういうゴルフは、大学時代にある程度できてきたと思うんです。彼らの振りを見ていると、具合が悪くなっていましたから(笑)。排気量の高いアメ車と僕らのハイブリッド車の違いを目の当たりにして。でもね、だからといって、飛距離の夢も捨ててはいないですよ。諦めてはいけないんですよ、ずっと……。それには、道具と仲良くなって、うまく使いながら、距離を伸ばしていきたいですね」