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“自然児”池田勇太がリベンジに燃える!
日本ゴルフツアー選手権の敵は「自分」。
text by
三田村昌鳳Shoho Mitamura
photograph byTaku Miyamoto
posted2010/06/02 10:30
「いや、自然派なんですよ、僕は(笑)」
そんな会話のやりとりが行き交うインタビューで見えた、
池田勇太の素顔の魅力とは……。
日本ゴルフツアー選手権にリベンジを期す彼を、最新の証言で綴る。
――昨年は、惜しくも賞金ランキング2位でした……。
「いや、惜しくはないですよ。僕にとっては、100点満点だったと思います。だって(自分が立てた目標の)階段を5年分ぐらい一気に昇った感じですから。最高の1年です。途中、怪我とかあって、それも自分が悪いんだけど、その中で4勝。賞金ランク2位……最高の年じゃないですか」
――今年は、新たな階段を?
「いや。リセットです。もう一度、はじめから階段を、まず一歩という姿勢で臨んでいます。もうすでに向こう5年分、昇ったのだから、スランプが来てもやれるだろうし、海外にも多く出て、挑戦したい……」
――春先、マスターズ前に4試合ほど米ツアー挑戦しましたよね。やはり日本と雰囲気が違いますか?
「同じでしょう。いや、正直、僕は、どんな試合でも同じ気持ちで臨んでいますから。賞金の違いとか、コースの違いとか、海外とか、何だとかで気持ちを変えるのではなく、『トーナメントに出る』という気持ちは、常にひとつなんです」
――どんな気持ちで臨むのですか?
「まっさら……。その場で何を感じるか……これが僕にとっては、非常に大きいですね。ですから、マスターズでも、事前情報は一切聞かなかった。聞きたくもなかった。その場で感じることが、すごく大事だと思うんです」
――まさに闘争本能、動物的感性を臨場でフィールする!
「そ、そうです。ですから自然派……ひと言で言えば、何も考えていない。先入観を持ちたくないタイプなのかもしれませんね」
海外でプレーするとき、「どうも馴染まない」ではダメ。
――よく日本選手が海外でプレーすると、「日本でプレーする自分らしさを出しにくい」というようなことを言いますけど?
「うーん。おそらく、プレーしづらい部分があるのかな。例えば、間の取り方(テンポ)が違うでしょう。向こうは、きちっと決めるまで打たない。ゆっくり。正直、遅い……。でも、それって、どうも馴染まないって思っていてはダメ。自ら慣れなさいってことだと思うんですよ。ですから僕は、アメリカに行けば、自分のペースをアメリカサイクルにします」
――なるほど。
「あと、日本との大きな違いは、芝の質とか風の重さといった、コースの状態です。戸惑うのは、今週の場所で調子がよかったとしても、次の週は芝の質、太さ、風の重さなどが全然違う。そんな極端なことは日本ではありえないでしょう。そこで、自分をリセットするというか、大胆に切り替えないといけない。そうじゃないと自分らしいゴルフができなくなります」
――マスターズの場合も、フェアウェイは全部、ティーグラウンドから逆目ですからね。ショットが難しい。
「そうそう。逆目。ラフもない。ラフがあればやりやすいロブショットも、ラフのない状態で逆目ですから、葉っぱ1枚噛んだって距離感は変わってきます」