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履くだけで効果がある高機能シューズ。
市場を席巻したメーカーの戦略とは?
text by
葛山智子Tomoko Katsurayama
photograph byGetty Images for Reebok
posted2012/08/21 10:30
ドイツでリーボックが行なったイージートーンの技術に関する説明会。イージートーンは美脚やヒップアップ効果を謳って、新たな市場を獲得していった。
大手航空会社は、なぜLCCを模倣できないか。
さて、ここで競争優位性の構築で成功した有名な業界をご紹介しよう。日本でも今年就航が相次ぐローコストキャリア(LCC)業界である。
LCCのさきがけは、アメリカのサウスウェスト航空。それまで高かった航空運賃を下げ、低価格のチケットを販売し始めた。それにより、飛行機が身近な移動手段になり、飛行機移動の市場を拡大することに成功。低価格チケットを提供するために、機内サービスを有料化、空港使用料の安い郊外の中小空港を使用し、同一機種を一括購入し機体購入費も安くするなど様々な施策をとっている。
このサウスウェスト航空の成功に対して、大手の航空会社はどのような反応を示したか。
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結論から言うと、大手航空会社がLCCスタイルの模倣に成功することはなかなかできなかった。たとえば、今までフルサービスを提供していたお客様を大事にするあまりサービスの有料化に簡単には踏み切れない。大空港をハブ空港として利用しメンテナンス施設も併設させている大手航空会社にとっては中小空港利用への変更も一苦労。さらに、様々な距離の路線ごとに適切な大きさの機体を要する大手航空会社が機種を1種類に揃えることなどできない。このような理由から大手航空会社のLCCスタイルへの変更には時間がかかった。
この「競合にまねされにくい仕組み」こそ、持続的な競争優位の構築には必要になる要素なのである。
読者が努める競争優位性とは何だろうか。構築するように日々活動を立案し、実施しているだろうか。構築し続けているかどうか一度確かめてほしい。
今回のポイント
◆自社の強み(競争優位)とは、与えられるものではなく自ら構築するものである
◆強みは、企業の特長ではなく、顧客にとって価値のあるものを提供することの中に作られる
◆優位性を構築する施策を策定する際には、競合が模倣しにくいものかどうかを常に考えておく必要がある