ロンドン五輪EXPRESSBACK NUMBER
テロ、エコ、ニートのロンドン五輪。
開幕後に、街の雰囲気はどう変わる?
text by
松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph byTakaomi Matsubara
posted2012/07/26 16:30
ロンドンの繁華街であるピカデリー・サーカス付近。五輪の装飾も見られるが、いつもと変わらぬ観光地としての賑わい……という雰囲気である。
気候変動、廃棄物、包括性、健全な暮らしがテーマに。
そういえば、選手村の宿泊棟には、各国の選手たちが自分の部屋のベランダに国旗を掲げている。その中で、不思議なことに星条旗が見当たらない。
いつもなら、まっさきに目に入るのは星条旗であり、アメリカの選手たちなら思い切り目立つように掲げるものだが……。それも不思議だ。
それでも、オリンピックは開幕する。
オリンピックはいつも大きなテーマを掲げるものだが、ロンドン五輪は「持続可能性」をあげている。
・気候変動――温室効果ガスの排出を最少限に抑え、後世へ受け継ぐ施設が気候変動の影響に対応できるようにすること。
・廃棄物――廃棄物を最少限に抑えること。
・生物多様性――会場周辺の野生生物やその生息地に対する大会の影響を最少限に抑えること。
・包括性――ロンドンとイギリスの多様性を祝い、新たな雇用、トレーニング、ビジネス機会を創出すること。
・健全な暮らし――国中の人々がスポーツを楽しめるようにして、活動的かつ健康的で持続可能なライフスタイルを展開できるようにすること。
こうしたコンセプトのもとに行なわれるのが今回のロンドン五輪なのである。それをどこまで実現することができるのか。何かしらのアピールを世界に向けて効果的に打ち出すことができるのか。
「ホームレスの若者に未来を与えるために支援を」
さらに大会の目的には、ロンドン東部の再生がある。
貧困地区として知られてきたエリアをメイン会場として開発することで、街として生き返らせようとしているのだ。
ロンドンでは、列車内にも「ホームレスの若者に未来を与えるために支援を」と広告が貼り出されるなど、特に若者をめぐる失業問題が取りざたされている。