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リーグもカップ戦もCLもすべて2位。
バイエルンはなぜ勝てなかったのか?
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph byBongarts/Getty Images
posted2012/05/26 08:01
チャンピオンズリーグ決勝でも地の利をいかせず、消極的な采配に終始した老将ハインケス。
隆盛のブンデスにあってバイエルンの改革は遅れている。
また、攻撃面では選手たちの能力に頼るばかりで、チームとして機能させることが出来なかった。ブンデスリーガでは大勝した試合が多かったものの、守備の堅いドルトムントとボルシアMGを相手にした計4試合ではわずか1ゴールしか奪えなかった。
確かに、今季のバイエルンがリーグ戦で稼いだ勝ち点73があれば、過去5シーズン中3シーズンはタイトルに手が届く。しかし、ライバルのドルトムントは、年々進化を続けている。バイエルンも負けずに成長をとげなければ、追いつくことは出来ない。
国内の2つのタイトルを失ったあと、キャプテンのラームも認めざるを得なかった。
「現時点ではドルトムントの方が僕たちの先を行っている。それは明らかだ」
成功するかどうかわからない進化を目指すよりも、安定を選んだバイエルンは一つのタイトルも手にすることなく、シーズンを終えることになった。彼らの選んだ道は、失敗だったのだ。
CLでは、一昨季はバイエルンが準優勝。昨季はシャルケがベスト4で、今季もバイエルンが準優勝。タイトルに手が届いていないとはいえ、ゼロ年代のブンデスリーガ「冬の時代」は完全に過去のものとなった。UEFAのリーグランキングでもイタリアのセリエAを大きく引き離し、イングランド、スペインに続きヨーロッパで3位の位置を手にしている。
しかし、今から6年前、地元ドイツでW杯が開かれたとき、ブンデスリーガがこれほどまでにヨーロッパの舞台で競争力を取り戻すとはどれほどの人が想像していたのだろうか。
そう、世界のサッカー界の進むスピードは、驚くほどに早いのだ。
地元開催のCLで涙を飲んだバイエルン。このまま流れに乗り遅れれば、取り返しのつかないことになるかもしれない。
果たして、歳を重ねたバイエルン首脳陣たちは、このスピードについていけるだろうか。