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西武の大苦戦は当然なのか!?
リリーフ陣の分析で見えてきた病根。
text by
小関順二Junji Koseki
photograph byToshiya Kondo
posted2012/04/20 10:30
昨年の6月、クローザーに配置転換された西武・牧田和久は、22セーブを挙げる活躍で新人王にも輝いた。今年は先発に戻ったが、果たして安定した成績を残せるか。
プロ野球は開幕から2週間以上すぎ、ある意味、「当然の結果」が出ている。当然の結果とは、ゲーム後半に登板するリリーフ陣が充実しているチームは強く、手薄な球団は苦労している、という意味である。チーム状況が好対照で、それがチーム成績に反映しているパ・リーグの2球団、ソフトバンクと西武を見て、ゲーム終盤の意味を考えてみた。
[パ・リーグ順位]
1 ソフトバンク
2 ロッテ
3 日本ハム
4 オリックス
5 楽天
6 西武
[註]4月15日現在
ソフトバンクは昨年、合計43勝した和田毅、杉内俊哉、ホールトンの先発陣が退団した影響で苦戦するのは必至と、開幕前は一部で囁かれていた。それが、フタを開けてみれば快調に首位を突っ走っている。チーム防御率はリーグ5位の2.92と低めだが、これは4月11日の日本ハム戦で0対14の大敗を喫したためで、この試合を除けば防御率は2.30になり、これはリーグ3位の記録になる。
盤石の「勝利の方程式」を築いたソフトバンクは絶好調。
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とくに頑張りが目を引くのがリリーフ陣だ。ゲーム終盤の「勝利の方程式=森福允彦、ファルケンボーグ」の防御率はともに0.00。さらにメジャーから復帰した岡島秀樹、4年目の金無英も0.00で続き、吉川輝昭(防御率7.50)、金澤健人(防御率2.70)の不調を補っている。
近年、ソフトバンクの中継ぎ投手は成績の乱高下が激しく、活躍した翌年に低迷する選手が多い。藤岡好明、久米勇紀、柳瀬明宏はその代表的な選手で、一昨年活躍した甲藤啓介も現在まで一軍戦に登板していない。それを見越したかのように新戦力を用意し、彼らはその期待に十分応えている。