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西武の大苦戦は当然なのか!?
リリーフ陣の分析で見えてきた病根。
text by
小関順二Junji Koseki
photograph byToshiya Kondo
posted2012/04/20 10:30
昨年の6月、クローザーに配置転換された西武・牧田和久は、22セーブを挙げる活躍で新人王にも輝いた。今年は先発に戻ったが、果たして安定した成績を残せるか。
先発偏重は黄金時代を築いた渡辺監督の自尊心が根幹!?
西武はどうして、大石を抑え投手として育成しようとしないのだろう。
考えられるのは渡辺監督の「投手は先発完投が理想」という独自の価値観である。
先発完投で一時代を築いた自分自身の経歴、さらに西武という球団がこれまでリリーフ投手を重要視してこなかったのを、渡辺監督が見て育ったことが大きいのではないか。
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揃って入団した鹿取義隆、潮崎哲也が、先発完投を重要視する西武に新風を吹き込んだのが'90年。この2人に杉山賢人を加えた“サンフレッチェ”が機能した'96年までの7年間は、西武にとって例外とも言えるリリーフ投手に大きな注目が集まった時代である。
この間に何かあったのかというと、'90~'94年までにはパ・リーグ記録となる5連覇があった('90~'92年には日本シリーズ3連覇)。
この偉業に3人のリリーフ投手がかかわったという認識が渡辺監督に希薄なのではないか。
黄金時代に貢献したのは渡辺久信、工藤公康、郭泰源の先発3本柱、そういう認識を強く感じる。好意的に見れば、抑え投手は消耗が激しいので、将来有望な若手より取り換えがきく外国人投手にまかせたい、という思いもありそうだ。
西武は外国人にまかせるポジションをあらかじめ決めているのか?
西武は外国人にまかせるポジションをあらかじめ決めているような印象がある。
リリーフ投手は過去5年のグラマン、シコースキーという顔ぶれを見れば一目瞭然である。また三塁手も長く外国人が守ってきた。クーパー、T・フェルナンデス、マクレーン、エバンス、J・フェルナンデス……。
現在は中村剛也が守っているが、そもそも三塁というポジションにうまさを求めていない。だから外国人が長くポジションに就き、現在は中村が守っている。抑え投手に対するのと同様の偏見である。