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高木新体制で「落合色」は一掃された!?
6番井端、7番平田に込められた意図。
text by
田口元義Genki Taguchi
photograph byHideki Sugiyama
posted2012/04/02 12:30
開幕3試合、井端(左)は11打数6安打で打率.545。平田は12打数5安打で.417。打点もそれぞれ3、4と、高木・中日の好発進を支える原動力となっている。
セ・リーグで唯一、開幕カードを無敗で終えたのは、優勝候補大本命の巨人でも注目度ナンバーワンのDeNAでもなく、2010、2011年のリーグ覇者・中日だった。
広島との開幕戦をエース・吉見一起の好投により勝利で飾ると、2戦目は9得点で快勝。3戦目こそ終盤に同点とされ引き分けとなったものの、2勝1分は上々のスタートと言える。
開幕前までは、前年の深刻な得点力不足は高木新体制となっても解消できていないのではないかと、疑問を抱いていたファンも少なくなかっただろうが、いざシーズンが始まってみれば、「強い中日」は健在だった。
「落合色」は本当に一掃されたのか?
一般的に、高木守道が監督に就任してからの中日は変わったと言われている。
チームスローガンを「Join us ファンと共に」とし、春季キャンプ以降、どのチームよりもファンサービスに力を注ぐ。チーム編成にしても、投手担当の権藤博をはじめ、平野謙、宇野勝らOBを招聘し、コーチ陣をほぼ一新するなどその装いは劇的に変化した。
周囲はそれを、「落合色の一掃」と見る。
落合博満が指揮を執っていた昨年までは、彼自身が「勝つことが一番のファンサービス」と言っていたように勝利至上主義の印象が強く、直接的なファンサービスが希薄だったことは確かだ。それは、「コメントも戦術のひとつ」と落合自身が捉えていたことに起因するのだが、4度のリーグ制覇と1度の日本一を達成した実績をみれば、その手法を「正しくない」とは断言できない。
だが高木監督は、時に「今日は話さなくていいの?」と報道陣に声をかけ、テレビによる試合後の監督インタビューにも必ず応じている。
とはいっても、常勝の礎を築いた前任の戦術まで壊してしまうほど中日は愚かなチームではないし、高木監督にしてもそれは理解しているはずだ。だからこそ指揮官は、「そんなに力んだり気持ちを高ぶらせることはありませんからね」と泰然自若の姿勢を貫けるのだ。
野球に関しては、落合のやり方を踏襲しつつも新たなスタイルを確立させる。これこそ、今季の中日が目指すものであるはずだ。