野次馬ライトスタンドBACK NUMBER
'98年の熱狂を忘れぬ横浜ファンよ、
4・3ハマスタ開幕戦に集結せよ!
text by
村瀬秀信Hidenobu Murase
photograph byNaoya Sanuki
posted2012/04/01 08:01
1998年、就任一年目の権藤博監督(現・中日一軍投手コーチ)率いる横浜ベイスターズ(当時)が、いきなり日本一に輝いた。その後も、1999年、2000年と続けてリーグ3位のAクラス入りを果たしていた。
手を替え品を替えてのファンサービスも……熱いぜ!
大魔神対ローズなんて横浜における馬場×猪木戦である。さらに野村、尚典、中日から谷繁と'98年メンバーを揃えておいて、まさかの斉藤明雄。相手ベンチには権藤博。これが盛り上がらなくて何が盛り上がるというのか。しかも、球場下に新規オープンするオフィシャルショップでは、4日にローズが(5日は尚典)一日店長をやるという。あの現役時代、決して日本語を喋ろうとしなかったというプライドの高いローズが、どんだけハッスルボビーするつもりなんだと。
さらに注目したいのが、チケットの種類だ。「開幕シリーズ限定チケット」と題したそれらは「公式球付チケット」、オリジナルデザインの「デザインチケット」、始球式をしたOBと試合後に写真が撮れる「レジェンドチケット」なんて特典がついてくる。
なんというべきか。熱い。とにかく手を替え品を替えいろいろとやってくれている。しかも、ファンが求めているものを球団が理解してくれているというか、巧妙なところをついてくる。
潜在的なファンを「球場へ行く人」にする熱い仕掛け。
しかし、何故だろうか?
ずっと疑問に思っていた。横浜は12球団最低の観客動員数であり、ファンの数は少ないとされている。それならばただれたファンが喜ぶことをやるよりも、新規ファンに訴えるマーケティングをしていった方が得策じゃないかと考えてしまうのだが。
そんな疑問を球団の人に聞いてみると、意外な言葉が返ってきた。
「調査を行った結果、横浜は人口に対してのファンの比率、そしてファンの地元率が他球団と比べてもすごく多く、潜在的なマーケットはかなりのものだと考えています。ただ“ファンの人”と“球場に応援しに来る人”は似て非なるもの。ファンの人はいるんです。その人らにいかに球場に来る人になってもらうか。何をやればいいというものはないですよ。ただひとつ絶対的なものがあるならば、ファンの人に喜んでもらえること。それだけです」
そうらしい。
確かに。昔、横浜ファンだった人。クソ弱い横浜に見切りをつけた人。セ・リーグだと横浜が好きな人。昨年まで、筆者の周りにもそんな人がたくさんいた。
ではその人らを「球場へ行く人」にするにはどうすればいいのか。その答えが、昨年からここまでの「継承と革新」をはじめとした一連の“熱い”動きになっているのだろう。