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野球漫画『グラゼニ』的視点で知る、
“ゼニを稼げる”ルーキーの見分け方。 

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中村計

中村計Kei Nakamura

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photograph byHideki Sugiyama

posted2012/03/16 10:30

野球漫画『グラゼニ』的視点で知る、“ゼニを稼げる”ルーキーの見分け方。<Number Web> photograph by Hideki Sugiyama

「雄叫びとかガッツポーズは自然と出る。来年もピンチを抑えたら、自然にやっちゃうと思います」と発言している田中は、今季も相手をねじ伏せるような投球を見せてくれるはず。星野監督も雄叫びを容認するコメントを出している。

格上の相手にも気後れしない監督に感化された選手たち。

 駒大苫小牧に就任して間もない頃、佐賀県出身の香田は、こんな大立ち回りを演じたことがある。

 北海道の中心的指導者である年配の監督に、練習試合でエースを登板させなかったことをなじられたときのことだ。相手の監督が勢い余って、北海道で生きていけなくさせてやるからな、という主旨の発言をした。すると、香田は「おお、やれるもんならやってみろ!」と啖呵を切ったのだ。

 それを間近で眺めていた選手らは「この人に怖いものなんてないんだ」と、妙な度胸を植え付けられたと語っていたものだ。彼らが全国の舞台でも、まったく気後れせずにプレーすることができたのは、香田が「どんなにすごい人でも尊敬だけはしない」という主義の持ち主だったからだ。

高給取りの大先輩を「見下ろして投げ」ていた田中将大。

 そして、香田の次に思い浮かべたのが、そんな香田の教え子である楽天の田中将大だった。

 ここ数年のルーキーの中で、田中に勝るとも劣らない評価を得ていたルーキーは何人もいる。なのに、なぜ田中だけが勝てるのか──。

 田中は、能力自体も図抜けているが、それ以上に図抜けているのは、何ものにも屈しない精神力である。結局、そこに行き着く。

 プロ入り1年目の'07年4月12日、デビュー3戦目の西武戦でプロでやっていく手応えをつかんだ田中は、その試合を「いい意味で見下ろして投げることができた」と振り返った。4-4で迎えた7回表、2死満塁から、当時、推定年俸が2億7500万円だった5番・和田一浩を148キロのインコースのストレートで見逃し三振に切ってとった場面は、まさにその言葉を体現していた。

 試合後、それまで辛口だった監督の野村克也も「あのケンカ投法は、プロで生きていくための絶対条件だからね」と評価した。

『グラゼニ』の中で、投手コーチが凡田の欠点を指摘し、〈こーゆー人はプロでは大稼ぎはできない〉と諭すシーンがあるのだが、田中は、まさにその対極にいるプレーヤーだ。

 田中のような選手は、大稼ぎできる──。

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