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村田、杉内らの大型補強で強いはず!?
巨人の戦力データ分析で意外な結果。
text by
小関順二Junji Koseki
photograph byNIKKAN SPORTS
posted2012/03/12 10:31
桑田真澄氏が21年間背負った背番号18を受け継いだ杉内。オープン戦でも好投を見せ、巨人の新エースとして存在感を増しつつある。
巨人の補強が話題になっている。優勝を逃すと動き出すというのが巨人の昔からの特徴で、今年もその法則は生きていた。過去10年の大補強を振り返ってみよう。
[註]V逸年→大補強年……補強した選手(守備・前所属)
◇'03年3位→'04年……ローズ(外野手・近鉄)、シコースキー(投手・ロッテ)
◇'05年5位→'06年……野口茂樹(投手・中日)、豊田清(投手・西武)、イ・スンヨプ(一塁手・ロッテ)、小坂誠(遊撃手・ロッテ)、パウエル(投手・オリックス)
◇'06年4位→'07年……小笠原道大(三塁手・日本ハム)、門倉健(投手・横浜)、谷佳知(外野手・オリックス)
◇'07年1位(CS敗退・中日日本一)→'08年……ラミレス(外野手・ヤクルト)、グライシンガー(投手・ヤクルト)、クルーン(投手・横浜)、
◇'11年3位→'12年……杉内俊哉、ホールトン(ともに投手・ソフトバンク)、村田修一(三塁手・横浜)
V逸、CS敗退後の大補強の結果、どうなったかというと、'04年3位、'06年4位、'07年1位、'08年1位で、移籍効果は50パーセント。'07年はCSで中日に敗退しているので、実質的な効果は40パーセントくらいだ。大金を使い、一部の不評を買った割に実った果実は小さかった。
決定事項を翻して獲得した村田修一の実力を記録で検証。
今年はどうだろう。
まず、俎上に上がるのが村田修一。
昨年11月に渡邉恒雄・球団会長を痛烈に批判して球団を去った清武英利・前球団代表は、『文藝春秋』'12年1月号に独占手記「ナベツネ栄え、野球は枯れる」を発表し、村田について次のように書いている。
「私が解任された後、横浜ベイスターズの四番だった村田修一選手を巨人が獲得するとの報道が流れている。桃井社長や渡邉会長もそのプレースタイルや得点圏打率の低さ、若手選手育成などの観点から、昨年オフ、そして今オフも獲得しないと一度は決めていたはずだった。渡邉巨人は再びかつての場当たり的な補強に走ろうとしているようだ」
'10年オフから2年間、村田を獲得するか否か球団上層部の間で話し合われ、そして一度は「獲得しない」と結論が出ている。ここで書かれている「得点圏打率の低さ」は本当なのか、その他の記録とともに検証しよう。