なでしこジャパンPRESSBACK NUMBER
なでしこジャパンが再び世界と対決。
アルガルベカップでは勝利を捨てろ!?
text by
河崎三行Sangyo Kawasaki
photograph byAkihiro Sugimoto/AFLO SPORT
posted2012/02/28 10:31
2010年にもなでしこジャパンに招集されていた木龍七瀬。昨年のワールドカップ出場こそならなかったが、それに比肩する五輪出場を果たしてリベンジなるか
2月29日から3月7日までポルトガル南部沿岸地域で行われるアルガルベカップに、なでしこジャパンが出場する。
この大会には世界各地から12カ国が集結、3組に分かれてグループリーグを行う。現在FIFAランク3位の日本はアメリカ(同1位)、ノルウェー(同12位)、デンマーク(同12位)のいるB組でまず、グループリーグを戦うことになった。他組の顔ぶれも紹介しておくとA組がドイツ(同2位)、スウェーデン(同5位)、アイスランド(同15位)、中国(同18位)、C組がアイルランド(同29位)、ハンガリー(同34位)、ポルトガル(同43位)、ウェールズ(同46位)。
各国のFIFAランクを見てもおわかりかと思うが、A、B組に比べてC組のメンツは一段力が落ちる。これはポルトガルと力の拮抗した、いわば“開催国強化枠”で他の3国を揃えたからだ。そのため大会最終日に行われる順位決定戦は、少々イレギュラーな方式が採用されている。
A、B組のグループリーグ3位までの組は、両組の同順位同士でそれぞれファイナル、3/4位決定戦、5/6位決定戦を行う。7/8位決定戦はC組1位とAまたはBの4位国で勝ち点が上位の国、9/10位決定戦はC組2位とAまたはBの4位国で勝ち点が下位の国、11/12位決定戦はC組の3位と4位、といった対戦になるのだ。
五輪優勝を狙う日本にとってのアルガルベカップの意義とは?
1994年から始まったアルガルベカップの出場国は'98年の第5回大会以降、ヨーロッパの国々、絶対女王のアメリカ、かつては世界3強の一角だった中国、で構成されるのが基本線だった。
日本はレベルの高いこの大会への参加を熱望していたのだが、アジアからのチームは1国のみと長く固定されていて、出場がかなわなかった。しかし昨年、ドイツの辞退によって日本が代替出場することになり、3位入賞という結果を残した。
そして今年は押しも押されもせぬW杯覇者として、大会組織委員会から正式招待を受けたのである。
もっとも、日本にとってのアルガルベカップは、勝敗に一喜一憂するような大会ではない。自国でのシーズンが佳境に入っている欧州勢の多くや、昨秋の国内リーグ終了以降も積極的に代表合宿や国際試合をこなして1月末には五輪北中米カリブ海予選を戦っているアメリカに比べ、オフ明け直後のなでしこはコンディション面で大きなハンディを負っている。
この大会でのなでしこジャパンの主目的は、W杯出場組に割って入れる新戦力の発掘と、戦術をさらに熟成させる練習時間の確保にあると見るべきなのだ。