日本代表、2014年ブラジルへBACK NUMBER
ザックは今、“何”を探している!?
石川直宏に続き宮市亮を呼んだ意味。
text by
二宮寿朗Toshio Ninomiya
photograph byTakuya Sugiyama
posted2012/02/27 12:20
「彼(宮市)はA代表でプレーするチャンスはある」と語ったザッケローニ。これまでも、宇佐美貴史、久保裕也、柴崎岳ら10代の選手を招集してきたが、宮市への期待度は1ランク違うものを感じさせる
昼の暖かさがまるで嘘のように、夜の大阪長居スタジアムは厳しく冷え込んだ。
2月24日、日本代表は2012年のファーストマッチとなったアイスランド代表との一戦に臨み、1得点1アシストを記録した槙野智章らの活躍もあって3-1で勝利した。北欧でプレーするメンバーを中心に来日した相手のレベルを考えれば、もう少し圧倒して寒さを吹き飛ばすような内容を期待していた。とはいえ、コンディションが上がっていないオフ明けという事情を差し引けば、まずまずの出来だったと言えるだろうか。
試合後の会見で雄弁に試合を振り返ったアルベルト・ザッケローニも、ある程度、試合内容には満足していたように見えた。
「まず選手には、勝って今年をスタートさせようという話をした。私が要求したとおり、勝って終えられた。試合に出た選手、出ていない選手も勝たないといけない大切なゲームと認識して臨んでくれた」
ザッケローニ監督就任後、初めて戦った“オール国内組”での一戦。
ザッケローニの表情が明るかった理由のひとつに「サイドでのコンビネーションが良かった」ことが挙げられるだろう。
彼が監督に就任して以来、国内組だけで戦ったのは初めて。20歳前後の若手や代表復帰組と“新顔”が多かったなかで、指揮官は4-2-3-1を採用して2列目の左に大久保嘉人を配備した。開始早々、左サイドの大久保からオーバーラップしてきた槙野にボールが渡り、前田遼一にフワリと浮かしたパスを送って先制点を奪った。
この日特徴的だったのは両サイドバックに高い位置を取らせたこと。ボランチがサイドに寄って2列目も加わることで数的優位をつくろうとした。中央がぽっかりと空いてしまう怖さはあるものの、そこを遠藤保仁、初起用の増田誓志が意識してケアしていた。
「フィジカルコンディションが原因で不用意なミスも多かった」と指揮官が語ったようにシュートまで結びつけられたシーンはそう多くなかった。しかしサイドを起点にして攻略していこうとするチームの意思統一を十分に見ることはできた。
相手の守備もサイドで対応してきたために、細かくつなごうとするだけでなく大きくサイドチェンジして揺さぶることも忘れていなかった。ぎこちない部分は多くあったが、指揮官としても許容の範囲だったということだろう。