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アマ球界にも蔓延するロースコア現象。
もしかすると大震災の影響かも!? 

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小関順二

小関順二Junji Koseki

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photograph byHideki Sugiyama

posted2011/12/29 10:30

アマ球界にも蔓延するロースコア現象。もしかすると大震災の影響かも!?<Number Web> photograph by Hideki Sugiyama

2011年夏の甲子園では投高打低の傾向の中、日大三の強力打線が爆発。計6試合で61点を叩き出し、10年ぶりの頂点に立った

アマ選手は大なり小なりプロの影響を受けている。

 まずプロ野球の総得点を2010年と比較しよう。

◇パ・リーグ 2010年総得点3858 → 2011年総得点2945

◇セ・リーグ 2010年総得点3724 → 2011年総得点2718

 統一球の導入によって得点が激減していることがわかる。アマチュア球界と統一球は関係ないので、プロのロースコア現象を紹介するのは無意味のように思われるが、アマチュアの選手はプロの影響をさまざまに受ける。

 たとえば、打つ形・投げる形(フォーム)。イチローが脚光を浴びた1990年代中盤、全国の野球場に振り子スタイルで打つ左打者が数多く出現し、野茂が三振を獲りまくった1980年代後半から1990年代初頭にかけては、トルネードで投げる右投手が増えた。

 この数年を思い返すと、プロの世界で流行したのが「ボールを手元まで呼び込み、捕手寄りで捉えて、押し込む」というバッティングスタイルだ。金森栄治打撃コーチが率先して「捕手寄りのミートポイント」を徹底したロッテなどは、波状攻撃がチームカラーになり、2010年の日本一奪取の大きな力になった。

 この打ち方は当然、アマチュア球界にも波及する。高校球界ナンバーワンスラッガーの高橋周平(遊撃手・東海大甲府→中日1位)は「バッティングで心がけていることは何?」と聞かれ、「ボールを呼び込んで、ポイントを近くして打つようにしています」(『アマチュア野球31号』(日刊スポーツ出版社)と答えているほどだ。

「捕手寄りのミートポイント」で打つ打者に生じた迷い。

 しかし、統一球の導入によって「捕手寄りのミートポイント」は万能でなくなった。利き手が前手になる右投左打は、反発力が小さい統一球に対して、後手で押し込めないので本塁打が打ちづらくなった。さらに、右投右打でも捕手寄りのポイントで打つタイプは和田一浩(中日)を筆頭に苦労した。こういうプロ各打者の迷いが、アマチュアにも伝染していると思う。

<ミートポイントは前か後ろか、重要なのは引き手か利き手か、早打ちか待球か>

 さまざまな問いかけに、プロ野球の関係者は明確な答えを出せなくなっている。プロを見て育ち、バッティングを上達させてきたアマチュア球児は迷った。どうしたらうまく打てるようになるのか、どうしたらホームランを打てるようになるのか。

【次ページ】 東日本大震災による精神的な萎縮も得点減少の一因か。

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